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【テレパインタビュー㉓(上)】変形ギミック&デザインがCOOL!SFコミック『BIRD/BINARY』の作者&メカデザイナーLAS氏に取材インタビュー


Profile

ニックネーム:LAS91214

SNS: @las91214

出身地:中国

職業:マンガ家、コンセプト&メカデザイナー

専攻:デジタルエンターテインメントと関連グッズデザイン










■Art Gallery


────さっそくですが、まずは先生の自己紹介をお願いします!


「はい、LASと申します。大学時代では、(デジタルエンターテインメントと関連グッズデザイン)という新ジャンルの専攻に通いました。具体的な授業内容は、ゲームやアニメと関わる制作作業と、関連グッズの開発についての勉強です。新興分野なので授業の先生も模索しながら課題設計していたので、何でもありの感じでした。先生からは「業界雑用係の専攻」とも言われました(笑)。


卒業後は一時、ゲーム会社とアニメ会社に務めました。その後は中国あるIT企業からWEBマンガ連載の案件がありまして、それをきっかけとして自分のオリジナルSFマンガ『鉄鴎アーマードガル』の連載をはじめました。マンガ創作に専念するため元の職も辞めました。

それからは、マンガ家として活動しながら、コンセプト&メカデザイナーとして様々なゲーム会社及び造形メーカーと提携し、商業プロジェクトに携わってきました」


────LAS先生は、間違いなく「スーパーロボット大戦シリーズ」のファンですね! ロボットアニメ作品の中一番好きな作品は? またスパロボシリーズ中一番好きな作品を教えてください(笑)


「そうです(笑)、好きなロボットアニメ作品は多すぎて語り切れないほどありますが、印象深い作品は『機動戦士ガンダム00』と『フルメタル・パニック!』シリーズです。メカデザインはとてもお気に入りでした。スパロボシリーズで自分が最初に遊んだのは『スーパーロボット大戦W』。主人公機の合体した究極形態はとても衝撃的でした(笑)」


────(マニアックな質問ですみません)LAS先生は、スーパーロボット大戦OGシリーズの中、一番のお気に入りのロボットとパイロットは?


「実はスーパーロボット大戦OGシリーズはそんなにプレイしていませんでした。それでも選ぶなら、やはり『スーパーロボット大戦W』主人公機体の「ヴァルホーク」と主人公の「カズマ・アーディガン」です」


────なるほど……では先生の作品の話題に戻ります。LAS先生は今、作品創作をどんな体制で行っていますか?


「これまでのメインはWEBコミックの形で作品を作りました。少し中国のマンガ業界の現状を紹介したいと思います。中国の場合、マンガは週刊誌ではなくWEBマンガが主流です。また読者たちの閲覧習慣も違いまして、モノクロではなく、全ページフルカラーでの制作が必要となります。WEBコミックをフルカラーで表現する場合、画像処理するため多くの労力と時間が必要であり、個人クリエイターにとっては、なかなかの作業負荷になります。


近年は、中国インターネット環境の発展とともに、BILIBILIのような動画共有サイトも台頭しました。クリエイターは様々な表現活動ができるようになってきています。自分は今、マンガを静止画ではなく、ダイナミックな映像形式で表現する「ダイナミックマンガ」という形での作品発表を試み始めました。

具体的は、AVGゲームのように、立ち絵のキャラクターCGと3DCGで表現するロボット戦闘の組み合わせで作品を構成しています。特にロボット戦闘のシーンにおいては過去アニメ会社に勤めた時の経験を活かしています!」



────LAS先生がメカ機体をデザインする際の、発想方法のコツを教えて下さい。


「私の場合は、ロボットとはまったく関係のない物事からメカデザインのインスピレーションを探します。 たとえば最近自分が夢中になっているのは、フロム・ソフトウェアが今年中発売したばかりの人気アクションRPG『ELDEN RING エルデンリング』です。ゲームの中に登場する強大な敵生物、モンスターデザインにとても惹かれています。


自分はずっと前からは『DARK SOULS』シリーズのファンでしたので、それが自分のメカデザインに影響を与えています。例えば自分の初期メカデザインでは「騎士の鎧をモチーフとした機械デザイン」という考え方がありました。

この考え方は、単純に他作品のデザイン要素を「機械的に表現を真似する」ではなく「あるものを機械化で表現する際、作品世界設定中の産業技術レベルではどのように処理(製造)されるか」に沿って構成するのがポイントです。作品中に設定する製造技術に合わせてメカデザインをするわけで、私のメカデザインについての考え方はある意味「違う言語間の翻訳」と共通点があるデザイン方法として捉えて頂ければ嬉しいです。


私の最新作『BIRD/BINARY』に登場する主人公の機体デザインもこういう発想アイデアで作られたものです。ぜひご覧になってください!」



────LAS先生が考える『BIRD/BINARY』の世界観とストーリーについて教えてください!


『BIRD/BINARY』の世界観は、世界が様々巨大企業に支配される未来の時代の物語です。その巨大企業らが建設・管理する大都市群「ユートピア」の隙間に、企業と地下組織が秘密裏に競うカオスなエリア「オフィエシティ」が存在します。

このエリアには「GORGON ゴルゴン」と呼ばれるテロ組織が現れます。彼らたちは、善良な一般市民に犯罪者の人格を取り憑からせる特殊な能力を持っています。


そして、主人公・林浦郎(LIN)の妹が「GORGON ゴルゴン」に襲われ、死んだはずの連続殺人犯「サイラー」に取り憑かれます。そしてもう一人の主人公であるマッドランド(MADLAND)は、サイラーに過去の恨みを復讐するため行動します。

『BIRD/BINARY』のストーリーは、二人の主人公が、異なる動機のためにカオスなエリア「オフィエシティ」で戦いの繰り返しながら真実を見つけていく物語です。


『BIRD/BINARY』のストーリー設定においては、構造上ではよくあるサイバーパンク的なSF物語に近いですが、作品のメカニックデザインの部分においては、実は非常に「DARK SOULS的なもの」になっています(笑)。

主人公機並びに大企業の機体デザインは「中世紀騎士」的外見スタイルに偏りますが、悪役のテロ組織の機体デザインは、あらゆる種類の怪獣モンスターに似ています。ファンタジー世界でもお馴染みの悪竜ドラゴンをイメージするものもあれば、もっとダークで怪異的な造形をするものも登場する予定です。このデザインスタイルは、実は今後のストーリー展開にも関連してしています。今はこれ以上おしゃべりはできませんが、ぜひ楽しみにしてください!」



────LAS先生のメカ変形についてのぜひ解説をお願いします!


「メカの変形デザインについて、概念的な言葉で説明しますと……「ロボットの変形」は、表現目的に沿って「1から2」のデザイン理論で設計するのが一般的なやり方です。また、求める目標を達成するために、「1×1+1=2」のように複雑化する変形構造にする場合もあります。それをもっとシンプルに言いますと「メカ変形」という特定目標を達成するためにデザインをしていた、とも言えます。


ただしこれは過去に自分がオリジナルマンガ作品に没頭していた時の考え方で、造形メーカーと実際の商品化案件を携わってから大分変わりました。リアル商品化の場合は「現実的に表現できるメカ変形の限界」というものがあるので、基本「1+1=2」というシンプルな思想に沿ってデザインをしています」

また、重要なのは、メカ変形をデザインする際、最終結果(変形後のメカ)をいかに格好良く見せたいのか、過程(メカの変形プロセス)を格好良く見せたいのか、その需要の違いによってデザインスタイルも変わります。


現実世界の物事で比較とすれば、「結果を重視する変形メカ」と「過程を重視する変形メカ」の違いは、「奇術」と「ジャグリング」の違いとして捉えて頂ければと思います。メカの変形プロセスを重視する場合は「ジャグリング」に似ていますが、結果を重視する場合は「奇術」で合っています」



────LAS先生は今、自分作品中に登場する変形メカをどういう考え方でデザインしていますか?


「今自分の作品創作において「変形」という要素を作品中のメカデザインスタイルを制御するための道具として捉えています。クリエイターの皆様が作品を創作する際に、絵柄、表現方法を自分から意識してコントロールしないと、ついに自分が馴染む物事に傾いてしまいます。例えば、私の多くの友人たちはメカデザインの作品を描くとよく「ガンダムみたいなロボット」造形になってしまいます(笑)


ただし、メカデザインする時は、変形という要素を含めて思考すると、「1+1=2」とう方程式を解いていくたび、予期もしない斬新な結果が生まれる可能性があります。その結果は、メカデザインに変形という要素を加える際、現実的な制約によって形成されるもので、そのおかげで自分自身からは設計思考の慣性から抜け出すことができて特別なスタイル表現ができるようになりました」



────LAS先生は、自分がデザインしたメカロボットをネット上で「オープンソース」の形で公開したりします。これを行う動機は何でしょうか?

(※編者注:オープンソースとは、ソースコードが公開されているソフトウェアのことです。ここではメカモデリングを編集可能な状態で公開することを意味しています)


「中国に「独楽楽、不如与人楽楽」ということわざがあります。自分ひとりで楽しむより、シェア精神があったほうがより面白い結果が生まれると思っています。


また今まではメカロボット造形製品の実現には、工場メーカーの支援は必要でしたし、商品化する際に作品はメーカーから独自の基準によって選定されることになりますが、今や3Dプリンティング技術の台頭によって誰でも手軽に造形商品を作成できるようになっています。

現在、私がオープンソースで公開しているメカは「ANONYMOUS X-BIRD MARK.Ⅳ」です。私の作品の読者たちから長い間「公開して欲しい」という要望がありまして、それを答えるためオープンソースで公開しました(笑)」




────LAS先生がこれまでに参加した商業プロジェクトについてご紹介ください


「まずマンガについては『鉄鴎アイアンガル』です。今は完結しています。ゲームについてはモバイルゲームの『機動戦隊アイアンサーガ』、『アーテリーギア-機動戦姫-』、『パニシング:グレイレイヴン』、『終末陣線』、『エターナルツリー』、『解神者』、『荒野行動』など、様々なゲームプロジェクトに参加しました。まだ進行中で公開できないものがありまして、もうすぐに皆様にご紹介できると思います。

商品について、主に中国造形メーカーの「大火鳥文化」と「核誠治造」と協力して『BIRD/BINARY』中に登場するメカの商品化を進めています。すでに発売済なのは「MEDUSA MKⅢ メデューサ」、「PROTEUS 海神(かいじん)」、「TITANK 影虎(かげとら」などです。他にもいくつ開発中の新製品がありまして、近いうちに発表できると思います」


続編は、LAS先生が手掛けたメカ造形商品についての開発秘話を公開致します! 続編はこちらへ

 

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