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中国の<日本コミック>人気ランキング【2021年8月28日時点】

言わずと知れた漫画大国日本、毎日新しい漫画が生み出され、雑誌で読むといった形だけでなくスマートフォンで毎日1話づつ読めるサブスク配信も生まれています。様々な展開で進化し続ける日本の漫画の爆発的人気は海外にも浸透し特に中国、フランスでの人気が顕著となっています。


特に中国での「日本コミック」の人気が今まで以上に盛り上がりを見せています。ホビーテレパではこの動向をしっかりチェックしていきます!


bilibiliマンガ(https://manga.bilibili.com/)より転載


『bilibili』人気漫画ランキング2021年8月28日時点:


1位.天官賜福 2位.妹子太多,只好飞升了 3位.幽冥诡匠 4位.チェンソーマン 5位.呪術廻戦 6位.魔入りました!入間くん 7位.ぐらんぶる 8位.九柱神

9位.亲吻深渊 10位.怪獣8号


ランキングの内半分が「Japanコミック」となっています。スゴイですね!!

例えば日本国内の漫画ランキングを作ったとしても、マーベル作品(米国)がトップ10にランクインすることはほぼないと思われます。漫画に限らず、歌や映画などの文化において、自国外のものがそれも過半数もランクインすることは、そもそも本来は異常なことと言えるはずです。


中国では1960年ごろから日本の漫画が伝わり、若年層の男女を中心に幅広い読者がいました。

注目すべきなのは、中国国内における日本の漫画やアニメは『人間はこう生きるもの』『家族はこうあるべき』といった『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』のような教育的な内容のものを生活習慣の基本となるような作品が多く輸入されていたようです。


実際は輸入されていたもの以外にも多くの作品が読まれていましたが、読者の多くは不正にデータ化された海賊版を読むことが多かったことも事実です。もちろん中国政府は各種規制の問題だけでなく著作権の重要性に理解を示していました。しかしながら今でも日本ですら一部海賊サイトがはびこっているように、当時、海賊版の取り締まりは困難な状況でした。


しかし、中国内でも大手サービスによる2015年くらいからの電子コミック配信で状況が変わりました。電子コミックの配信は、中国内でもオタクだけでなく一般層にまで広く日本漫画を普及するきっかけとなりました。また、この頃から中国オタクはBillBill動画内のコメントで作品についてコメントを残し、他の読者とつながることができるようになります。他者とつながることで、より作品や作者に愛が生まれ『正規品にお金を払う』という意識が芽生え始めてきたのです。


さて作品に話を戻します。

アメリカでは今でもドラゴンボールやNARUTOが絶対的な人気を誇っていますが、中国ではどのような漫画作品に人気が集まっているのでしょうか?

BillBill動画のランキングを解説していきましょう!


第10位 怪獣8号

原作:松本直也 集英社


なんといってもこの作品の一番の特徴は主人公が『おっさん』だということ。

地震などの災害が多い日本を背景に、怪獣が攻め込んでくるSFものの主人公が『おっさん』(笑)。しかし、そんな『おっさん』の挫折や苦難の連続の再起の物語が国境を超え、中国オタクにも共感を得て(!?)みごとランクイン!


第7位 グランブル

原作:井上 堅二 著:吉岡 公威 講談社


グランブルは大学のスキューバダイビングサークルに入った主人公と、サークルの仲間が繰り広げるドタバタ青年コメディ漫画。


この作品の人気の一つに豊富なパロディがあります。『スラムダンク』や『君の名は』など中国国内でも人気の高かった作品のパロディが随所に散りばめられております。時には懐かしく、時には新鮮な感覚で笑うことができるますね。作品自体の面白さも勿論ありますが、ネタ元の分かる豊富なパロディがグランブルの人気の秘訣といえます。


第6位 魔入りました! 入間くん

原作:西修 秋田書店


主人公・入間くんはお人好しで優しい性格、物語は笑いあり、アツい展開ありのストーリーは、子どもも大人も誰が見ても楽しめるストーリーです。入間くんの魅力は読者世代の広さもあります。子どもも大人もどちらも楽しめる成長譚が人気の理由であるのではないでしょうか。


また、入間君のアニメについては家族で視聴することが多いようです。ひょっとしたら日本でいうドラえもんやクレヨンしんちゃんのようなポジションなのかもしれません。


第5位 呪術廻戦

原作:芥見下々 集英社


日本でも『鬼滅の刃』の次はこれ!と言われた作品である呪術廻戦。

この漫画の魅力はずばり主人公です。今までのジャンプ作品の主人公をMIXしたような性格を持つ主人公『虎杖悠仁』に中国ファンの注目が集まっているとのこと。


虎杖悠仁は天然で天才、それでいて自己犠牲型を惜しまない姿は、うずまきナルトやヒーロアカデミアの緑谷出久、そして歴代の主人公が持つリーダーシップを併せ持っています。その姿に過去の作品を思い出す中国オタクも少なくないはずです。


歴代の少年漫画では、主人公が巨悪や世界を相手に状況を変えていく姿が映し出されることが多いですが、この作品は変えられない世界で必死にもがく姿が描写されることが多いのも特徴。

中国だけでな日本にも当てはまるが、現代を象徴するような作品、とも言えます。


第4位 チェンソーマン

原作:藤本樹 集英社


悪魔を討伐するデビルハンターに半分悪魔の主人公が志願し、上司のマキマに恋をしながら人として成長していく、という物語。2020年の12月に第一部が完結し、同時にアニメ化が発表された注目作品です。よくある「○○制作委員会」での委員会形式のアニメ制作(※)ではなく、制作会社のMAPPAと集英社が全額出資したことからも作品への力の入れようが伺えます。


なぜチェンソーマンは中国オタクの心を引き付け、bilibiliマンガでのランキング上位に食い込んだのでしょうか。まず、考えられる理由は、6月に公開されたティザーPVの完成度の高さです。ティザーPVが公開されるやいなや、世界中で爆発的な注目が上がりました。このPVは人種を問わず引き付ける魅力があったようです。


また中国では、ドラえもんやスポンジボブのような二等頭キャラのアニメ・漫画よりも、等身大のキャラクターの方が人気が出る傾向にあるためチェンソーマンの注目度もこの時から高めであったようです。


二つ目の理由はストーリーの完成度の高さ。チェンソーマンの作者である藤本タツキ氏は作品内に過去の名作映画の描写や余韻を残す作風で有名です。作品の至る所に隠された映画描写は国を問わず私たちに懐かしい思いを感じさせてくれます。


また中国の留学生の間ではジャンプ+にて掲載された藤本タツキ氏の作品である『ルックバック』を読んで衝撃を受け、作者に興味を持ちチェンソーマンに行き着いた学生も少なくありません。『ルックバック』は現在もジャンプ+にて無料で配信しているので、興味を持った方は是非読んでください。



チェンソーマンは第二部の連載も告知されていることから、今後もランキングに載ることが予想される作品ですね。



中国における日本の漫画事情について記しましたが、中国産漫画も今までにないほどの盛り上がりを見せています。中国オタクは今まで、日本キャラクターに心酔していましたが、今は中国産ヒーローも登場しており、その人気は日本漫画文化に迫る勢いがあります。日本の漫画チャートに中国漫画がランクインする日も近いのかもしれませんね。そうなることで、競争が生まれ、アジア発祥の漫画文化がより世界に羽を広がることを期待します!!!


※制作委員会でアニメめ制作をする場合、たくさんの会社と連携して作品を作るため失敗したときのリスクを分散することが出来る。その代わりに収益も分散する。今回のような全額出資はリスクもあるが、売れた際のリターンも莫大なものとなる。

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