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【テレパインタビュー118】「創作に関する設定すべてを「作った」のではなく「自分が観測したもの」として扱っています」――イラストレーター・AUさんにインタビュー


■Profile

ニックネーム:AU

エックス:@D__elete

出身:日本

職業:イラストレーター











■Art Gallery


――まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いします!


「AU(あう)と申します」


――これまでに参加した商業プロジェクト、及びビジネス活動歴について教えてください。


「主にIP作品関連でのイラスト制作が多いです。漫画を描かせていただくこともあります」


――自創作におけるキャラクターの世界観やテーマはどのようなものでしょうか?


「「神」がテーマの話です。西洋の古代建築を思わせつつも、現実には存在しない規模の建造物や都市があったりする、いわゆるファンタジーですね。神は人間の中の信仰や宗教にとどまらず不死の肉体を持つ存在であり、世界の始まりから時代とともに衰退することもなく、いまだに現役で在り続けている世界です。彼らはときに地上に現れ、人と言葉を交わすことさえあります」



「ただ、神々は決して人を守護しているわけではなく、基本的に「無意味だから滅ぼさないだけ」というのが前提です。(神の性格によって多少の差はあります)」


「私は便宜上、これらの創作に関する設定すべてを「作った」のではなく「自分が観測したもの」として扱っています。上位存在である神について、詳らかに語ることも知ることも人にはおよそ不可能なことだと考えていて、こうしてお話ししていても私自身が当事者とは思えないからです」


――なるほど、「観測したもの」として扱われているということは新たな発見です。余談にはなってしまいますが、作品を初めて拝見させていただいた際に写真のようだなと感じた記憶がありました。


それでは、AUさん自身のオリジナルキャラクターについてご紹介お願いします。


「創作の世界では、はじめに創造神があり、世界を整えるために三神がつくられました。今回はそのあたりをメインにご紹介します」



①女神アリス

【人物像】

神の中心、事実上のトップであり、主に人間に関する事項の決定権は彼女にある。

慈愛・芸術・生命などいくつかの権能を持っており、天使や人間を創った女神として人々に広く知られている。

アリスは「神」ではあるが、その正体は生命体ではなく、創造神がこの星に根を下ろすために作り出した"レンズ"が少女の名を冠し、自我と肉体を得たもの。



「「神といえば」で真っ先に名前の上がるような存在で、現実でも大変ありがたいことにファンアートを最も多くいただくキャラクターです」



②レイダ

【人物像】

美・憐憫・水(海)・混沌や災いを司る神。その姿は光り輝くほどに美しいとされる。他二神同様に高位の神性を持ちながら、逸話が残されておらず知名度がとても低い。これは、彼を見た生存者がほぼいないため。

レイダの「美しさ」は、地上に厄災をもたらすある種の呪いであり、本人でも制御ができない。

普段は神や天使族がいる天界とは別の「楽園」に住んでいる。



「実はこの「レイダ」は、十数年続けてきた創作の中でつい数年前に突然降りてきたようなキャラクターで、彼の存在が観測できたことで創作の世界観やキャラクターの解像度がぐっと上がった感覚がありました。ただただ美しく、そこに彼がいるだけでいい……という、もっとも神らしい神だと思います」



③軍神トゥレラ

【人物像】

戦い・狂気・知恵・月、そして全ての生命の「精神」を司る神。彼の加護を授かれば困難を極める戦いにも必ず勝利できると言われている。

神々の中でもっとも強大な力と知能を持っており、そのことに加えて彼の性質上、意識のあるすべての生命の思考と繋がっているため、生きている限り人間は例外なく常時トゥレラの支配下にある。夢・現実問わずこちらに干渉してくる可能性が高い。

自由奔放かつ活動的。



「一番感情表現が豊かなキャラクターですが「精神そのもの」というかなり概念的な存在なので、実際は人間に合わせて感情があるように振舞ってくれているという方が正しいかもしれません」




「アリス、レイダ、トゥレラはほぼ同時期(※神のスケール感で)に創られた存在ですが、特に協力しあうこともなくそれぞれ好きに行動していることが多いです。ただ天界は一応組織ですから、特にこの三神が単独で相当な力を持っているということもあって、さすがに天界から逸脱するような行為は許されません。相手の都合を顧みない性格のレイダはその点かなり不安ですが……。他にも神がいるとはいえ、こんな奴らに世界が支えられているのだなと」



④フォルテ

【人物像】

主人公。神の中で、もっとも下位に位置する死神の肩書きを与えられた青年。しかし神とは名ばかりの悪霊に近い存在。

かつて天と地を分かつ大規模な戦いが起こった際、戦渦にあえぐ人々が戦いの終息を願って天界に贄として捧げた「元」人間でもある。


「地上で主に活動していますが、彼には双子の弟がいて、弟は神として天界に召し上げられた形で生き別れになってしまいました」


――4名のご紹介をありがとうございます。また、ひとつ気になったことがあり、『Fate/Grand Order(通称:FGO)』の「オベロン」というキャラクターも多く描かれているなぁと。こちらのキャラの魅力についてもお聞かせください。


「一つ挙げるなら、何もかもを唾棄していながらその終わりを見届け、また人から与えられたものを返そうとする律儀なところに彼の純粋さを垣間見たような気がして、それが切なくて美しいと感じています。「オベロン」という存在の難しさを考えると、とても私が語れるものではないですが……」




――創作を始めて長いと思いますが、そんなAUさんが活動初期に描かれた作品をお見せいただけますでしょうか。


「二年ほど前からイラスト制作で使用するソフトが変わったので、それに伴って塗りの質感もわりと変わったと思います」


△『刀剣乱舞』明石国行 ファンアート 【時期】Twitterアカウントを作って間もない頃


「最近の自分の作品傾向だと、人物がメインでありつつその場の空間ごと切り取ったイメージのものが多いのですが、このあたりは前後のストーリーがない静止画の側面が強い気がします。元々、雑誌の表紙のようにモデルを前面に押し出す構図が好きなので」


△創作内に登場するオリジナルキャラクター 【時期】10年ほど前


――たしかに見比べてみると、現在の作品の方が躍動感や静かな動きを感じさせられます。絵を描く上でのこだわりをお聞かせください。


「例えば版権作品などのファンアートであれば、そのキャラクターのバックボーンを調べた上でなるべくふさわしい表情を、漫画ではセリフの言い回しにかなり気を遣います。自分という描き手が介在する以上、多かれ少なかれ描き手の思想が作品に乗るので、リスペクトと愛を感じられる作品づくりができるように努めています」



――それでは、ご自身が今まで描いた作品の中で1番印象深い作品は何ですか?


「かなり悩みましたが2022年末に描いたオベロンのファンアートです。これを描いた当時の心境はあまり思い出せないんですが、絵面からして何もかも嫌だった時なのだろうなと」



「出口(EXIT)の方から彼がこちらへ向かってる構図で、こういう「遭遇してしまった」ようなシチュエーションは、漠然とした絶望感とか負の感情よりも、より直感的で生々しい「終わり」を訴えかけてくるものだと思います。彼が我々に寄り添ってくれるわけではないけれど、彼自体がその「終わり」であるからこそ、自分を含めた人間への嫌悪が滴り落ちそうな作品に昇華できるというか。なのでこういう強烈なイラストは、自分は結構好きです」


――なるほど。


「もう一つ、漫画になりますが、お仕事で何度かFGOのコミックアンソロジーに参加させていただいたことがありました。こちらは絵としての整合性だけではなく、さきほどお話ししたようにキャラクターの言動を慎重に扱う必要があるので、とても緊張したことを覚えています。結果、公開されたときから多くの反響をいただきました」

「作品内のセリフについて言外に含まれた意味を考えている方もいたりと、キャラクターを愛している人々が、キャラクターに向き合って真剣に作品を読んでくださるというのはこれほど嬉しいものなんだと、自分自身もこのコンテンツにおける一個人のファンながら、忘れられない思い出です」


――今後、挑戦してみたいことをお聞かせください。


「商業ではやはりゲームなどのキャラクターデザインは積極的にやっていきたいと思っています。自分の描いたプレイアブルキャラクターが欲しいと度々言っていますが、設定からボイスなどたくさんの方々によって一つのキャラクターが作り上げられていくのは、一次創作とはまた違う魅力と夢がある分野ですね。自分の作品傾向として好きなものを好きなだけ描くタイプなので、人にもそれくらいの熱意を与えられるキャラクターの姿を象ることに強い憧れがあります」



「それからこれは完全に個人的な夢ですが、創作キャラクターのスケールフィギュアが欲しいです」


――インタビューありがとうございます! 最後にファンに一言お願いします!


「いつも応援していただきありがとうございます。今後公開されていく情報もあると思うので、どうか楽しみにお待ちください」


 

■ライタープロフィール

ニックネーム:笹本千尋 -sasamoto chihiro-

日本・東京都在住

ツイッター:@tiam_00 

自己紹介:2021年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後フリーでライターをしております。


現在は「アニメイトタイムズ」「クウネル・サロン(マガジンハウス社)」「リアルサウンド」などで活動中。




 

ホビーテレパ運営会社の株式会社ジニヤズでは、若手クリエーターたちの作品や発想、活動をインタビューを通して世界中の多くの人々に伝えることを応援しております。


多言語(日中英)翻訳と情報発信のサポート、ビジネスチャンスのクロージング斡旋も行っております。インタビューや業務提携などのご希望がある方は、お気軽に「お問い合わせ」までご連絡くださいませ。

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