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執筆者の写真sasamoto chihiro

【テレパインタビュー81】創作テーマは「誰にも媚びない、反骨しない。」───アクリルガッシュで“現代の大和撫子”を描き続ける、画家・細川成美さんにインタビュー!


■Profile

ニックネーム:細川成美

ツイッター:@giRly_darkness

出身地:日本

職業:画家












■Art Gallery



───まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いします!


「初めまして、画家の細川成美です。「誰にも媚びない、反骨しない。」をコンセプトに活動しております」



「作品を現代の大和撫子と称して、作中で描かれる少女と同世代くらいの女性が絵の少女を指標にしても申し分ないような、無理なく健全で自然体な感じを目指しています」



───絵を描き始めたのはいつ頃からでしょうか?また、美術系の学校などに通ったことはありますか?


「絵自体は物心着く前から描き始めて、『セーラームーン』や『ローゼンメイデン』にハマりやはり理想の女の子ばかり描いてました。当初は画家になるつもりもなく「漫画家になりたい」「イラストレーターになりたい」と将来を決めて目を輝かせていた同級生と、特になりたいものがない自分を比べて肩身の狭さを感じていました」



「ですが、3年になっても勉強に本腰を入れず絵を描いてばかりの私を見かねた母が「予備校行ってみる?すごい近くにあったけど、」と言ってきたのがきっかけで美術予備校に入り、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に入学しました。ブランディングや広告やウェブなど、作られた作品や商品のその後を手がけることが多い学部で人への的確な伝え方や魅せ方を考えることを学びました。「人に見られる」「人に評価される」ということを意識して展示のために絵を描き始めたのは、多摩美術大学に入ってからです」




───これまでに参加した商業プロジェクト、及びビジネス活動歴について教えてください


「アーバンギャルドさんとは昔から仲良くさせていただいていて、例えば「鬱フェス2018」のメインビジュアルですとかライブ アバンデミックのDVDパッケージイラストを手がけさせていただきました!また、私がWinkをにインスピレーションを受けて描いた作品からsukekiyo様にグッズイラストの仕事をいただいたりしています。他にも映画『TITANE』のイメージイラストやアイドル様の生誕グッズイラストなど多数手掛けさせていただいております」


───「現代の大和撫子」を描かれているとのことですが、こちらのモチーフを描こうと思ったきっかけはなんでしょうか?



「私の作品のファンは、特に女性の割合が高いです。昔から個展に来て下さる人やフォロワーのアナリティクスをチェックしてきましたが、だいたい7:3〜8:2で女性ファンの比率が高くなっています。女性は良くも悪くも見られるということに非常に敏感な人も多くて、見た目に関して頑張り過ぎるところがあるように感じていました」


「私には制作の指標となっている方が2人いて、1人は中原淳一さんという方。人形作家であり、女性誌少女誌のプロデューサーやイラストレーターなんかもしてた有名な方で、戦時中に疲弊した少女達の質素な生活に雑誌や付録を通して豊かなライフスタイル提案や、贅沢な絵をあしらった付録で華を与えていたと言われています」


「もう1人は上村松園さん、当時男社会である絵の世界で、女性として本格派の美人画を描いて成功した第一人者と言っていいと思います。自身が「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」を目指していると自負されていて、彼女の描く気品溢れる画は老若男女問わず愛され、また彼女の活動は多くの女性を励ましたはずです」


▲初期のデジタル作品


「美大に行って、この2人に触れた瞬間サーっと霧が晴れたような感じになりました。私のテイストは本格派の美人画という感じではないですが、この2人のように「女性ってどうあるべき?」「どう背中を押してあげるべき?」という自分なりの思考や価値観を伝えるためにコンセプトを練り直し、自分の価値観を定着させるためのキャッチーな言葉はないかと探していたら、古き良きも大事にしたいけど、現代を受け入れる土台も欲しいということで「現代の大和撫子」としました」


───創作活動をされる中でよく使用するツールを教えてください。また絵を描く上でのこだわりもぜひ!


「木製のパネルに、版画用の鳥の子紙を水張りしたものが支持体です。そこにアクリルガッシュの和カラーを使っています」


「私の理想は、歌川広重や葛飾北斎の版画のように線を用い、立体を描くのではなく色どうしの組み合わせで奥行きを出したり、絵の具を盛るのではなく画の表面をさらっとした平面的なテクスチャに仕上げたくて、この表現と支持体になりました。最大限凹凸が出来ないように描き、その中でも差別化するために髪の方には金や銀の粒子を混ぜ、他の箇所と色やテクスチャを変化させることで、スキャンデータを見るだけでは味わえない楽しみが感じられると思います」


▲アトリエ風景



───現在に至るまで、ご自身の嗜好に影響を与えたものをお聞かせください


「バズ・パーカーが創作したキャラクターの「エミリー・ザ・ストレンジ」です。私を黒髪オタクにしたのは彼女と言っても過言ではありません。彼女は真っ黒の髪に真っ黒なワンピース、非常にシンプルに描写された魅力的な顔を持っています。特に服と髪を繋げて真っ黒に塗った彼女の絵を見て、黒という色は引けば主線にも、塗れば色面としても、ふたつの要素を持っている黒髪って絵の要素としてなんて最強に遊びやすいんじゃないかということを発見しました。実在はしませんが、サブカル界隈で人気のあるアンチヒロインの女の子で、彼女の作品が好きで本を持っています」



───続けて、尊敬するクリエイターさんも教えてください


「マーク・ライデンですね。アメリカの画家です。洋書を取り扱っている本屋を巡り、蔦屋書店でようやくサンプルのみでしたが画集を見つけ6000円ほどで買いました」


「私とは大きく画風が違いますが、絵画としてのクオリティの高さは言わずもがな、絵だけではなくマーク・ライデンの世界を高く再現し尽くした額、彫刻も出来る方なので本人が絵と合わせて額を作っている作品もあります。絵のみならず絵が放つ空気感や重量、限界まで贅沢の限りを尽くしたあの仕上がりを自分も求めるべきだと感じています」


───また、ご自身が今まで描いた作品の中で1番印象深い作品は何ですか?そう感じたエピソードも併せてお聞かせください


「本当に初期の、展示を始めたばかりの頃の話です。持ち込んだ銀座の画廊のオーナーさんにデジタルは売れないよと言われ、アクリルで描いた女の子を次は持ってくると約束して展示に出してもらえることになりました。搬入直前、既に仕上がっていた女の子の絵を見てなんか物足りなさを感じると思いその子に鼻血を描き足してしまったんです」



「オーナーさんからは「えー!?」と言われましたが、数日後にそのオーナーさんから連絡が来て「あの絵2つとも売れたよ!なんか鼻血が気になったんだって!」と言われたんです。絵は整って美しいものだけじゃなく、むしろその美しい土台を本当に繊細なさじ加減で少しだけ崩すくらいの方が、意味深で誰かに引っかかるんだろうかという発見になりました」


───創作される女性や男性は固定の人物が多いのでしょうか?


「いいえ。黒髪、美白、同じような特徴がありますが、同じような特徴を持った一人一人違う子を描いています。作品名を名前にすることもありますが、同じ子を描いたことはありません。飽き性なのと、修正の効かない画法なので仕上がりに少し変化が出てしまったりで、実は同じ子を描けません」



「ですが、私のフィルターを通して理想を描いているので私らしいテイストは守られています。見る人にとってはみんな同じに見えたりすると思います」


───今後、挑戦してみたいことはなんでしょうか?


「元々好きだった人形とのコラボレーションを成し遂げたいなというのがまずあります。私自身も球体関節人形を持っているのと、ドールイベントに頻繁に足を運んでいた時期もあったくらい人形がすきなので」


「もう一つ生涯をかけることになる挑戦ですが、日本ではだいぶ許容されているロリコン、変態的な文化に染まり過ぎないように、日本と異なる他の国の基準や女性男性からの厳しい視点でも、常に健全で一定の安心感がある作品を作り続けられたらなと思っています」


───インタビューありがとうございます! 最後にファンに一言お願いします!


「ここまで読んでくださってありがとうございます。私の絵で皆様の生活や価値観がより豊かになれば幸いです」


 

■ライタープロフィール

ニックネーム:sasamoto chihiro

出身地:日本・東京都

ツイッター:@tiam_00

自己紹介:2021年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後フリーでライターをしております。


アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きで、物語だと西洋ファンタジーやバトル系、耽美さを含んでいるものが好き。おすすめされたらオールジャンルなんでも見ます。


現在は「アニメイトタイムズ」「クウネル・サロン(マガジンハウス社)」などで活動中。


 

ホビーテレパ運営会社の株式会社ジニヤズでは、若手クリエーターたちの作品や発想、活動をインタビューを通して世界中の多くの人々に伝えることを応援しております。


多言語(日中英)翻訳と情報発信のサポート、ビジネスチャンスのクロージング斡旋も行っております。インタビューや業務提携などのご希望がある方は、お気軽に「お問い合わせ」までご連絡くださいませ。

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