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【テレパインタビュー106】「『死んだあとみたいな世界』を描きたいと思って描いています」――セリフのない生活を楽しむ。そねぽんさんにインタビュー!


■Profile

ニックネーム:そねぽん

エックス:@soneponjuice

出身地:日本

職業:会社員、イラストレーター













■Art Gallery



――まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いします!


「普段は会社で働きながら絵を描いています。主にSNSを中心に活動しています。絵はアナログとデジタルを併用していて、線画はアナログ、色はデジタルでつけることが多いです。線画はつけペンやボールペン、鉛筆等を使用しています」


――絵(漫画)を描き始めたのはいつ頃からでしょうか?また、美術系の学校などに通ったことはありますか?


「絵は子供の頃から好きで、ずっと描いていたと思います。高校生の頃に特に理由もなくあまり学校に行かなくなってしまったんですが、当時の担任の先生が今思えばとても良い先生で、進路等色々調べてくれて、『お前は美術の成績がいいし、絵を描くのが好きなんじゃないか?美術の大学とかはどうだ?』と提案してくれて。実際その後美術系の予備校に通い、美大に進学しました。特別思い入れのある先生というわけでもないのですが(笑)、今も絵を描いているのはその先生のおかげかもしれないです」



――ファンタジーな生き物たちの生活が窺える漫画が気になりました。セリフがないという特徴もありますね。作品を描く上でのテーマや世界観はなんですか?


「『死んだあとみたいな世界』を描きたいと思って描いています。先にテーマがあったわけではなくて、自分の絵を見ていたときに『死んだあとの世界みたいだな』と思って。それからなんとなく気に入って、聞かれたらそう答えています」



「天国とか地獄とか大袈裟な世界ではなくて、死んだ後にも現実みたいな世界があって、そこでふつうに生活しているキャラクターを描いている感覚ですね。セリフがないのは、そもそも自分では漫画を描いているとは思っていなくて、あくまでも一枚の絵として描いているからです。例えば壁に飾っても違和感のないものにしたくて、セリフがあると飾りにくいかな、とか割と浅い理由でそうしています。(笑)」


――創作キャラクターのご紹介をお願いします!


「人から、「キャラクターを描きたい人ではなくて世界を描きたい人だね」と言われたことがあって、全くその通りだと思います。だからキャラクターに名前も性格もなくて、同じ姿形をしていても、同じキャラクターですらないかもしれません。あまりキャラクターに重きをおいていないので、もう少しかわいがってあげたいところです…」



――また、ご自身が今まで描いた作品の中で1番印象深い漫画は何ですか?


「これですかね。この作品、というよりも、この頃から自分が描きたい感じに少し近づけた気がするので。私は大学卒業後に仕事で絵を描いていた時期があって、その頃は自分が全く描けないものを、求められるままにずっと背伸びして無理して描いていました」



「そんなことをしていたらどんどん首が絞まっていって。気がついたら毎日泣きながら絵を描いてました。絵の仕事を辞めることができた時には『自分にとっての絵』が全くわからなくなっていて、絵が描けなくなって、何年間もずっとうじうじ悩んでいました。随分経って今のSNS作って絵を描き始めて、この絵を描いたのがちょうど半年くらい経ったあたりですかね。やっと自分なりに過去と折り合いをつけることができてきたのかな、と思います」


――X(旧:Twitter)にて拝見したこちらの作品が印象的でした。この作品はどのようなところからインスパイアを受け、誕生したのでしょうか?


△「どうすれば君を証明できるか考えてる」


「この作品はSNSに投稿した当時多くの方に見ていただけてて、同じような質問をいただいたこともあります。その時もどう答えるか悩んだのですが…、『おばけってモチーフとしてキャッチーだし自分も描くか』くらいの軽い気持ちで生まれました。がっかりするほど浅いです(笑)」


「他の絵も、まずキャッチーな一コマを考えてそこから膨らませて描くことが多くて、先述した『死んだあとの世界』を描くみたいなものは、自分が描けば大抵同じような世界になると思っているので、毎回そこまで深く考えているわけでもないです。ただこの話はハッピーな話だと思ってたので、多くの人から『悲しい』という感想をもらって、そうなんだ、って思いました。おばけ側は『見えなくても君がいるからそれでいいし、自分を証明できる術を一生懸命考えてくれていることがうれしい』みたいな話なんですね。でも自分の絵はセリフがないことが多いので、見てくれた方が想像した世界が正解だと思っています」


――現在に至るまで、ご自身の嗜好に影響を与えた作品やジャンルをお聞かせください


「作品やジャンルではないのですが、東京で暮らしていた時に経験したことや見たり聴いたりしたものが今の自分を形成してると思ってます。上京して初めて一人暮らしをして、人生で一番悩んだ時期ですが、同時にたくさんのことを吸収できた時期でもあります」



「本屋さんにははじめて見るような本がたくさんあって、映画館は朝方まで上映していて、紙だけ扱うお店もある、大きな画材屋さんもある、行きたい展示もイベントもすぐに行ける距離で開催される。若かったこともあって、お金を後先考えず使っていたのが逆によかったですね。それまでは好きな世界がすごく狭かったのですが、自分が知らなかった世界のおもしろさにたくさん触れて、好きなものが増えました。今は引っ越して田舎に住んでいるし地方がだめだとかそういう話ではないのですが、あの時あの場所で暮らしていなかったら今の自分の絵は絶対に描いていないです」


――尊敬するクリエイターさんはどなたですか?


「楳図かずお先生がすきです。漫画としても絵としても大好きです。祖父江慎さんと吉岡秀典さんがブックデザインした新装版がめちゃくちゃおしゃれで買い集めました。全人類集めて欲しい。一番好きなのは『洗礼』です。あと一年前にSNS始めるまで全然知らなかったんですが、SNSにすごい人が多すぎてびっくりしました…」


――これまでに参加した商業プロジェクト、及びビジネス活動歴について教えてください


「野外映画フェス『夜空と交差する森の映画祭2023』のメインビジュアルを担当しました。パンフレット等でもたくさんイラストを使用していただいています。最近ではMVでアニメーションを作らせていただくことも多く、まだ公開していないものもいくつかあるので、そちらもまた見ていただけたら嬉しいです。また、今年の5月に初めてイベント出展してみて楽しかったので、今後も定期的に出展したいですね。あと、LINEスタンプ発売中です!」


――今後、挑戦してみたいことはなんでしょうか?


「何か特別なことをしたい、というよりも、今はまじめにコツコツと描いていきたいです。しいていえば、自分が安定して絵を描き続けられる環境の土台作りがしたいです。創作ってお金とか精神とか時間とかなにかと不安定が付き纏いがちなので、どうすれば自分が一番安定した環境で絵が描き続けられるのか、最近そればかり考えています」



――インタビューありがとうございます! 最後にファンに一言お願いします!


「ファン…。自分はそんな大層な存在ではないんですが、見てくれる方にはすごくすごく感謝しています。見てくれる人がいないと続けられなかったと思うので。いつもうれしいです。ありがとうございます」

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:笹本千尋 -sasamoto chihiro-

出身地:日本・東京都

エックス:@tiam_00

自己紹介:2021年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後フリーでライターをしております。


現在は「アニメイトタイムズ」「クウネル・サロン(マガジンハウス社)」「リアルサウンド」などで活動中。


 

ホビーテレパ運営会社の株式会社ジニヤズでは、若手クリエーターたちの作品や発想、活動をインタビューを通して世界中の多くの人々に伝えることを応援しております。


多言語(日中英)翻訳と情報発信のサポート、ビジネスチャンスのクロージング斡旋も行っております。インタビューや業務提携などのご希望がある方は、お気軽に「お問い合わせ」までご連絡くださいませ。

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