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【テレパ実物レビュー51】巨大列車砲が、ロボットに完全変形! 超弩級ロボットトイ「ドグラス」の迫力を見よ

 先日、戦艦大和が鎧武者に変形するロボットトイ「冥和」でおれの度肝を抜いたのですが、またもやとんでもないネタで攻めてきました。今回ご紹介する、「ドグラス」がそれ。なんと、ドイツ軍が第二次大戦で運用した超巨大列車砲が、デカいロボットに変形するというオモチャです


はい。みんな大好き、80㎝列車砲の模型ですね

 まずは上の写真をじっくり見ていただきたいんですが、どこからどう見ても世界最大の列車砲、80㎝列車砲ですね。列車砲というのは読んで字の如く、大砲がくっついている列車のこと。車体や搭載砲を大きくしても軌道があれば比較的小さな力で牽引できることから、列車砲には自動車や馬に引かせるよりよっぽど大きい火砲が搭載されました。


逆から見ても80㎝列車砲。よくできてるな〜

全長は砲身の長さも含めて50㎝以上あるという、相当ボリュームのあるアイテムです

細かくモールドが入っていて、上から見ても超カッコいい  特にこの80㎝砲は世界最大のカノン砲として知られており、砲身長30m以上、発射する砲弾の重さが4t超という凄まじいスケール感。8台の大型貨車を台車にし、合計4本のレールの上を移動するという、化け物のような大砲です。これを2門作ったというんだから、大戦当時のドイツ人というのは本当によくわからない人たちですね……。


 セヴァストポリ要塞攻略で凄まじい威力を発揮したものの、運用には旅団規模の兵士が必要な上、線路の敷設、巨大な砲弾の輸送、組み立て用クレーンの随伴、さらに制空権の確保が不可欠というとんでもない扱いにくさから、さほど活躍の機会があった兵器とは言えません。ですが、見た目のかっこよさと途方もない巨大さから漂うロマンもあり、いまだに人気のある兵器ではあります。というか、中国の人も好きなんですね、これ。


なんか謎の分割線がありますが、各部のモールドは細かめです

大砲を支える部分には複雑なリブが縦横に走っていて、むちゃくちゃ重いものを支えていることがわかります

砲尾の部分はシンプルな形ですが、これも実物通り。極端に省略されているとかではありません

さすがに細かい手すりなどはありませんが、車体前側の形状も実物によく似ています

砲を乗せている貨車部分は、ちょっとした鉄道模型みたいな情報量です

車体にはドイツ語のマーキングが。これは量産前のサンプルなので、マーキングがガタガタしています

砲の先端には、ちゃんとライフリングの彫刻が入ってます


 前置きが長くなりましたが、「ドグラス」はこの80㎝列車砲がロボットに変形するというオモチャです。ドグラスは『メタルソウル(Metal Soul)』とSF作品に登場する予定メカで、この作品は「自らの戦魂(闘志)を燃やすことで遺伝子に秘められた巨大兵器「燃魂機甲」の力を解き放つことができる"ソウルバーナー(燃魂者)"と呼ばれる戦士たちの物語」なんだそう。この『メタルソウル』はいずれはコミックにする予定ですが、漫画になるより先に試作品的にオモチャが出たということだそうです。完全にオモチャ先行って、勢い任せすぎるな……。ちなみに、このドグラスは一応善玉のメカだとか。ふ〜ん。


 元になるコミックすら「これから作る」みたいな状態のネタなので、今回ご紹介するのもあくまで先行試作品。マーキングの水平がとれてなくてガッタガタだし、関節は部分的にユルいからポーズの幅も狭いし、頭のデザインは今後大きく変化する予定。なので、「男子中学生が考えたようなメカが、そのまんま製品化されるんだからすげえなあ」という気持ちで読んでいただけると嬉しいです。大和の次は列車砲ということで、とにかくデカくて強そうな兵器が好きなんや、という開発スタッフの叫びが聞こえてくるようですね。


 しかしまあ、列車砲形態でもびっくりするほどの精密感。大和の時もそうでしたが、80㎝列車砲の模型として普通に見応えがあります。全体に細かく入ったモールドが超かっこいい。全長が約52㎝なので、およそ1/91くらいのスケールです。これが変形する……? 本当に……?


では、トランスフォーム!

いきなり主砲を取り外し、貨車の部分を四方に展開します

貨車の配置を変えつつ、車体の前半を展開

細かくパネルを移動させて……

上半身が完成!

車体の後ろ半分もパネルを開いて移動

左右の脚を分割して……

脛から爪先を作ったら完成!

 

 実際に変形させてみたところがこちら。80㎝列車砲の形状は見ての通りの箱型なので、基本的にロボットは「気をつけ」の姿勢で車体の内部に収まっています。トリッキーな手足の移動や胴体の変形などもなく、本当にマジで「気をつけ」してるだけ。当然と言えば当然ですが。

 

 トリッキーな変形の代わりに必要なのが、鬼のような枚数のパネルの展開。車体の外装が次々に折り畳まれ、表裏をひっくり返して手足に再固定されることで、ロボット形態の外装ができていきます。このパネルの展開・収納はなかなか面白いところもあるのですが、いかんせんパネルの枚数が多く、やっていて「またこういう工程か……」みたいな気分になるところも。はっきり言って変形玩具らしいワンダーというか、「ここがこうなるのか!」という驚きは薄めだと思います。ただ、冥和と同じく「なんとかしてロボット形態と列車砲形態の見た目を両立させよう!」と思ったらこうなるよな……というのもわかるので、なかなか難しいところ。冥和ほどパネルの噛み合わせがタイトなところは少ないですが、慣れないうちはけっこう変形させるのが大変かもしれません。

ロボット形態でも大ボリューム! 「ウォーマシン」という雰囲気でかっこいい!

貨車の部分は十字になって背中に背負われております

歯茎剥き出し!のインパクト的な顔ですが、今後もうちょい穏当なデザインに切り替えられるそうです。筆者的には残念!

修正後の顔デザインはこんな感じです。

列車砲形態では収納されていたパネルが展開され、落ち着いた赤やアイボリーのパネルが差し色として入ってくるのもイカす

貨車の部分は裏側がガバッと展開され、いわゆるしいたけディテール的なモールドが表に出ます

腰の後側のスカートには砲弾のモールドも

本当に各部の差し色の入り方がうまい

膝関節にはシリンダーっぽいパーツがあり、関節の角度に連動して動きます

肩関節は金属製。重量のあるオモチャなので関節が頑丈だと安心しますね

肘関節も金属製。関節の粘りも程よく調整されています

足首はかなり深く横に倒すことが可能。脛の装甲も金属製です

胸や肩の側面など、列車砲のディテールがうまく配置されているのもかっこいい

手の指はそれぞれ独立して動かすことができます

スカートのパーツは外向きに角度をつけられます  ロボット形態の見た目にもドイツ軍的な意匠がバチバチに盛り込まれており、兵器らしさの表現はなかなかかっこいい。「別表現形式のマイトガイン」という感じですね。列車砲形態では全体がジャーマングレー一色でしたが、内部のパネルが外に出たことで色数が増えたのも印象的。随所に落ち着いた赤色が入っているのが特にかっこいい。変形前後でパネルを展開・折りたたむことで部分的に内と外を切り替え、それによって色味も変化させるという点に関しては、冥和より洗練されているかもしれません。

主砲は基部を展開してアームを引き出せます

アーム部分を肩の裏面に接続すれば、ロボット形態でも主砲を装備させることができます

変形ロボットトイとして動いて欲しいところは大体全部動くので、主砲を構えたポーズも余裕です

主砲は背中の中央に取り付けることもできます

ベースは分割して、付属の線路パーツを取り付けることも可能

こうすると線路の上に列車砲形態でビシッとディスプレイできるわけですね。気が利いてる〜

背中の貨車部分を取り外して、直接手法を取り付けることもできます

貨車部分と手法を取り付けて自律兵器っぽくすることも。もうなんでもありですね……


 可動に関しても、近年の変形ロボットトイとして充分な動かし甲斐があります。冥和同様に負荷がかかりそうな関節部分は金属製のパーツでできており、動かしていて安心感があるのも特徴。巨大な手砲も見栄えがしてカッコいいし、意外に可動範囲が広いのも好感度高い。背中に背負った「X」型の貨車といい巨大な大砲といい、なんだかガンダムX感もありますね。

巨大兵器をモチーフしたロボット、やっぱりいいよね……!


 というわけで、「ドグラス」でした! 変形は「手足の変形はシンプルだけど、パネルの展開と収納が鬼」というスタイル。ただパネルの分解と収納がなかなか秀逸なので、ロボット形態になったときにガワ変形感が薄めなのはいいところだと思います。動かさなければならない部品の数が多いのがちょっと面倒ですが、固定部ははっきりしているので地道にやれば誰でも変形させることができるはずです。


 やっぱり何より魅力なのは、世界最大の超巨大列車砲がそのままロボットに変形するという点でしょう。モチーフの選び方の中二感、そしてそれを高いレベルで変形ロボットに落とし込んだ設計力と熱意は特筆ものです。ロボット形態のデザインもクールだし、「でかい大砲がついている」という点を両形態で活かしきっているのもナイス。冥和に続きホビーテレパで取り扱い予定なので、ビビッときた人は続報をお楽しみに!

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:しげる 出身地:日本・岐阜県 自己紹介:フリーライター。ホビー誌などでいろいろな原稿を書く傍ら、毎月けっこうな量のオモチャを買って遊びながら暮らしています



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