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執筆者の写真しげる

【テレパ実物レビュー㊺】プラモなの!? ブロックなの!? 組み替え自由な沼系トイ「マルチアビス」シリーズって何?

 ブロック玩具とプラモデルのいいとこ取りなオモチャが、しばらく前に中国で爆誕しておりました。RIHIOの『マルチアビス』は、集めたら集めただけ遊びがいが広がるタイプのオモチャです。


プラモとブロックの合体超人、それがマルチアビスなのだ

 『マルチアビス』は、ワームホールによって銀河系を横断するような長距離宇宙航行が可能になった世界が舞台。Pin-Vという惑星に入植した人々が打ち立てた政権「新雲」は、Pin-V星に埋蔵されている超高エネルギー鉱床「NUCRON」を発見。これはエネルギーと技術に革命をもたらす発見でしたが、NUCRON鉱床の付近には大型で極めて攻撃性の高い猛獣であるエイリアンビーストが常に生息していました。通常の兵器ではダメージが入らないエイリアンビーストと戦うため、新雲は専用の強力な兵器を開発。それら新開発された兵器とエイリアンビーストを立体化したシリーズが、マルチアビスです。


プラモデルのように組み立てますが、自由に組み替えることもできる構造です


敵のエイリアンビーストは完成品フィギュアとして販売


 オモチャとしてのマルチアビスのメカの特徴は、なんといっても組み立ての自由度が非常に高いことです。各ジョイントは3㎜径で統一されているので製品間で互換性があり、加えて部品のサイズが割と統一されている。もちろん例外はありますが、大体の部品の大きさが揃っていると組み替えがしやすいのは確かですから、この辺りからRIHIOの「たくさん買ってバリバリ組み替えて遊んでね」というメッセージを感じます。部品自体もけっこう肉厚に仕上げられており、ある程度雑に扱ってもヘタらないくらい頑丈。何回もパーツをつけ外しすることを前提に設計されている感じです。


1/60の統一スケールなのがこのシリーズの面白いところ。同スケールのフィギュアのみのキットも販売されています  そしてもうひとつの特徴が、1/60の統一スケールを採用している点。大体3㎝弱の人形がパイロットとしてどのメカにも搭乗するようになっております。シリーズ初期では固定ポーズでしたが、途中から全身が可動する極小サイズのフィギュアが付属するようになり、プレイバリューが大幅に向上。ここだけ見るとリブート版ダイアクロンインスパイア系玩具という感じですが、組み替えによる有形ブロック遊びというコンセプトが縦糸としてしっかり通っているので、実際に触ってみるとパクリ感はさほど感じません。


 ということで、今回はシリーズ初期、戦闘用および輸送用のメカとして発売されていたアイテムを順次見ていきたいという次第。なんせもうすでに10点ほどシリーズが発売されているので、全部やると原稿が5万字になっちゃうんですよね……。ちなみにこの記事ではどのキットも基本的に説明書の指示通り組んでいますが、どれもパーツを全部バラしてユーザーの好きな形に組むことが可能です。


第一弾なので、まだ箱絵のフォーマットが定まってません


 まず記念すべきシリーズ第一弾。「ストライカー+ロジスティック」のセットです。こちらは名前の通り、攻撃型のメカならびに兵站用メカに組み立てられるというもの。なんせシリーズ一発目なので色々荒削りですが、シリーズを通した遊びのコンセプトである「好きに組み替えられる有形ブロック」という部分はすでに完成している感が。

単純なパーツ構成ですが、意外によく動く

後ろにも色々背負ってます

肩が大きくスイングするので、銃も両手で抱えられます

こちらは「ロジスティック」。一箱の中のパーツだけで、別のメカに組み替えられるのです

コクピットに人が乗っていると嬉しい!


 ストライカーでもロジスティックでも肩を大きく前後にスイングできる構造になっており、組み替えだけでなくポーズをつけて遊んでも充分楽しい。オプションパーツも色々ついてるし、ちょっとどんなものか遊んでみたいならまずはこれ、という内容です。


第二弾でいきなりボリュームがマシマシに


 第二弾は「ディフェンダー+コンストラクション」。防御用のロボット兵器、ならびにブルドーザー型の車両という組み合わせです。実のところ、単品でのプレイバリューというか、内容の充実度で言ったらこれが一番イケてます。なんせロボットも車両用のシャーシも両方ついてるんだもんね。


こちらはガトリングガンっぽい武器

片手持ちの武器もついてます

パイロットは立って乗ってます。疲れそう……


 ディフェンダーにはガトリングガン型の武器、ならびに両手に持てる手持ち武器が付属。もちろんコクピットは開閉可能で、なかには気をつけをしたパイロットが入っています。直立ポーズでコクピットに放り込まれてるあたり、ちょっとダイアクロンのパワードスーツっぽいですね。腕や脚の付け根はボールジョイントで接続されていますが、パーツが肉厚なのでがっちりしたホールド感があり、渋みに関してはほぼ満点。動かしやすくてポーズがつけやすい、安定感のある関節です。


ブルドーザーまでついてるんだから、至れり尽くせりですね

組み替えればロボットの方を乗せることも可能

こんなメカにも組み替えられる部品が全部入り。すごいサービス精神  一方、コンストラクションの方は並列複座のブルドーザーといった感じ。見ようによっては「各部に3ミリのジョイントがついた、1/60の開放型コクピットパーツがふたつも入っている」という状態なわけで、これはかなりお得ではないでしょうか。そしてこのシャーシとタイヤを使い、さまざまな組み替えが可能なのがこのキットの特徴。コクピットを取っ払ってディフェンダーを車体として乗せたり、両腕が生えたブルドーザー型メカを作ったりと、これ1箱だけでかなり遊べます。サービス精神の旺盛ぶりがドカ盛り定食屋並みですね。


シリーズ最大の機体です


 そして第三弾となったのが「ヴァーミンスラッシャー」。こちらはエイリアンビーストに対する「もっとも代表的な殺戮マシン」なんだそうで、確かにめちゃくちゃ攻撃的な見た目です。武器が拳銃と斧というのも、なかなか殺意マンマン。一応善玉側のメカのはずなんですが、長い腕と短い脚、全体的にずんぐりした体型と、ちっとも善玉に見えない見た目がイカします。


武器が斧。ゴツい! いかつい!

ずんぐりした図体の割によく動きます


首周りを起こして……

上半身の前側と左右を倒して、ロックを外します

前後のタイヤを展開すれば……

ロボットの中からバイクが!

中にはちゃんとパイロットが乗ってます


 シリーズでも人型メカとしては最大クラスのヴァーミンスラッシャー。可動はなかなか優秀で、動いてほしいところは大体全部動きます。なんせムクのパーツの集合体なので重量がそれなりにあるんですが、ポーズをつけても関節がヘタらないのはけっこうすごい。そしてこのヴァーミンスラッシャーの見どころが、コクピットになっているバイク型ユニットの取り外しができる点。胴体をガバッと開き、中からコクピットを取り出して前後のタイヤを広げると、バイク型のビークルに変形します。これはストレートにカッコいいギミック。第三弾ともなるとけっこう内容が洗練されてきますね。


第4弾は輸送機。大型アイテムですが部品がランナーについてないので意外に箱が小さい

「カブトガニ」という名称はけっこう納得なフォルム

輸送機らしいゴツさです


 続く第四弾が「スカイ・リムルス&グラウンド・ホースフット」。なんじゃそれという感じですが、こちらは大型輸送機型のアイテムです。見ての通り、けっこう大きい。リムルスというのはカブトガニのことだそうですが、それも納得な見た目です。


機体の裏面には垂直離着陸用の排気ノズルが4つ!

こちらは前進用の排気ノズル。各ノズルはボールジョイントでくっついているので、向きを自由に変えられます。

機体の下には、これまで発売されたロボットを取り付けて輸送できるのです


 機体の裏面には4つの排気ノズルが取り付けられ、さらに機体後端には3つの排気ノズルが。「こいつは垂直離着陸もできるんですよ!」というメッセージが伝わってきますね。機体底面のジョイントを使えばこれまで発売されてきたロボットを吊り下げることが可能でして、これはこれでプレイバリュー高め。後発アイテムによって先発アイテムの遊びの幅が広がる感じ、おれはとてもいいと思います。


コクピットを切り離せば……

二足歩行メカに変形!

パイロットが欲しい人はフィギュアセットを買おう!


 さらにこの輸送機は、コクピット部分の取り外しが可能。機体本体から切り離して脚部を展開すれば、二足歩行型のメカに早変わりします。これが「グラウンド・ホースフット」の部分ということなんでしょうね。コクピットの開き方も「装甲キャノピーを前方に開いた後、クリアグリーンのキャノピーを開く」という形式になっていて、なかなか凝った仕様です。ちなみにこのスカイ・リムルスからはパイロットのフィギュアが付いておらず、乗せたい場合は別売りのフィギュアセットを購入する必要が。こちらはこちらで3㎝弱なのに全身が可動して面白いので、気になったら買ってみてもいいかもしれません。


 という感じのマルチアビスシリーズ。確かにプレイバリューが高く、自分好みのメカを組み立てて遊べる楽しいシリーズです。が、ちょっと困るのが、各部の関節がかなり固い点。これは完成後の関節保持力のために仕方ないところもあるんですが、特にボールジョイントのパーツはガッチガチに固く、つけ外しすると指が痛くなります。ちゃんとしたプライヤーなど、工具は用意した方が遊びやすいと思います。


第4弾以降はランナーにパーツが付いてないので、説明書のパーツリストと格闘しながら組み立てる必要が……


 また、第1~3弾はランナーにパーツがくっついているプラモデル形式だったのですが、第4弾のスカイ・リムルス以降はバラバラのパーツがビニール袋に入ってパッケージされている形式になりました。確かにパーツをランナーから切り離す必要がなくなって便利は便利なんですが、一方でパーツリストと睨めっこしながら組み立てに必要なパーツを探すことになり、「Aランナーの5番」みたいな感じでパーツを検索することができたプラモデル形式の方が便利なところも。個人的には、パーツを探すストレスはちょっとバカにならんな……と思いました。


ガンガン集めてバリバリ組み立てて遊ぼう!!


 という感じで色々書いてみましたが、実際のところなかなか野心的なシリーズだなあ、というのは間違いなし。集めれば集めるほど色々な形のパーツが手に入るので、数があるほどブロック玩具としての遊びがいが増すというオモチャです。今回は全て成形色がグレーのキットを使いましたが、カラーバリエーションもあるので集めようと思ったらなかなか沼です。ただ、「ディフェンダー+コンストラクション」のように一箱だけでしっかり組み替えて遊べるものもあるので、気軽に手を出しても充分面白い。あの手この手で「あれもできるし、これもできるよ!」という熱いサービス精神を感じさせるシリーズが、マルチアビスなのです。

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:しげる 出身地:日本・岐阜県 自己紹介:フリーライター。ホビー誌などでいろいろな原稿を書く傍ら、毎月けっこうな量のオモチャを買って遊びながら暮らしています

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