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執筆者の写真灰田みわ

【テレパ実物レビュー㊳】いい香りのフィギュア? 安さと驚きの造形美、MELETE Works「アロマのお姫様」敦煌シリーズ、ブラインドボックスレビューPart②

ブラインドボックス「アロマのお姫様」シリーズ。


Part①では「四季」についてレビューさせていただきましたが、今回はがらりと趣向が変わり……シリーズ第二段のテーマは「敦煌伎楽」です。


恥ずかしながら筆者は敦煌と言われてもピンと来ず、調べて初めて石窟の壁画で有名な都市であることを知りました。


約500の石窟に彫られた敦煌の壁画には音楽を演奏する場面の絵が多く、現存しない古楽器の姿も残されているそうです。唐時代の壁画と現代のフィギュアのコラボレーションは、日本で言うなら浮世絵とコラボするようなイメージでしょうか。

今回のお姫様は中国四千年の歴史の姿……?

パッケージは「四季」シリーズとうって変わってボール紙のシックな作り。


正面と上面の円ロゴは箔押しで、箱の字体からもコンセプトの違いが読み取れます。


シークレットを含めて全部で12種。

シークレットには、小シークレットの「壁画修復師」と大シークレットの「九色鹿王」があるようです。

袋は「四季」と同じ個包装。

 

琵琶

琵琶を背負ったお姫様。クリアパーツと金塗装が多く施され、全体的にとても華やかです。

しおりサイズの紹介カードも凝ったカッティングに壁画調で、ここにも「四季」シリーズとのコンセプトの違いが表れています。

背面から見たときの装飾品のバランスがとても美しく、木塗りの琵琶の質感も再現も見事。


そして、今回もフィギュア本体からほのかにいい香りが。

「敦煌」は、「四季」シリーズの甘いフローラルな香りとも違う、白檀のような上品な香りです。なんとなく、敦煌の石窟はこんな香りがするのかもしれないと思いを馳せながら撮影していました。

 

箜篌


日本語では、くご、と呼ばれる、現代にはもう存在しない楽器。

ハープや筝に似ているという幻の楽器を奏でるお姫様は、それにふさわしい天女の羽衣のような衣装をまとっています。

すその長い衣装にラメ入りのメイクなど、まさにお姫様と言うべき佇まい。

ちょっぴり獣っぽい横顔のフォルムには上品な優美さがたたえられています。

 

笛簫

竹のフルートを持って、雲の上をすいすいと駆けていくお姫様。

簫は、しょう、と読みます。今も残っている笛の一種です。

「四季」シリーズよりも少しお値段の張る「敦煌」シリーズ。

同一キャラクターなのになぜだろうと思っていましたが、手に取ってみて納得しました。

単純に、パーツと塗りがとても細かいんです。

ふんだんに使われたクリアパーツ、造形に隙がないエフェクト、質感を生かした楽器に装飾品。


可動ミニフィギュアという印象だった「四季」に比べて、こちらはオブジェに近い存在感があり、机に飾るだけで部屋が華やぎます。

 

銅鈴

黄緑のグラデーションクリアパーツが綺麗な鈴のお姫様。

服装やエフェクトが一見シンプルな子でも、鈴に彫られた模様などの細かい見どころは尽きません。

この子は後ろの鈴でバランスを取って自立できるようになっています。

 

古琴

クリアパーツの蓮の花の上に立つ赤毛のお姫様が背負っているのは、七本の弦が特徴の古い琴。この琴の演奏は無形文化財に登録されているそうです。

よく見ると眉にもそれぞれ特徴があります。

お姫様の視線の先を追いかけたら二匹目の蝶々が見つかるでしょうか?

 

阮琴

丸いボディに鳥の頭を模したネックがついた楽器は、現代では阮咸(げんかん)と呼ばれることの多い、リュートに似た楽器だそうです。

全種類に共通しているのが目元のメイクの美しさ。


伏し目がちな子だとよくわかりますが、ラメ入りのアイシャドウはどこかエキゾチックさのある浅黒い成型色の肌にとても映えています。光の当たり具合できらめく青い偏光パールは、ドールメイクにも劣らない美しさ。

 

海螺

ラメ入りパール塗装が美しいお姫様が吹いているのは海の巻き貝。

楽器はシンプルですが、波を模したグラデーションのエフェクトと羽衣で十分なボリューム感があります。敦煌の壁画が描かれた時代には、法螺貝も立派な楽器の一つだったようです。

長いまつげを伏せた、ぷっくりした頬のお姫様。法螺貝を握るもちもちした指がかわいらしいです。

 

排簫

同じ「簫」(しょう)でも、さっきの笛簫とは少し違ったパイプ型の楽器です。

こちらは海螺のお姫様とほぼ同一造形ですが、つや消しクリアパーツの髪や抑えめのパール塗装が落ち着いた華やかさを演出しています。

後ろにちょこんと乗ったカタツムリみたいに、くるんと巻いた眉毛がかわいいお姫様。

笛を見ながら一体何を考えているのでしょう?

 

花鼓

お花の台座に腰掛けてつんと澄ましているのは花鼓を叩くお姫様。

この楽器はどう使うのかいまいち想像できなかったのですが、調べるとどうやら本来は楽器単体の名前ではなく、二人で踊る民俗舞踊の名前だそうです。

童話の妖精のような花鼓のお姫様は、イメージの中の敦煌だけに存在するものなのかもしれません。

 

芦笙

物憂げな顔でこちらを見つめるうさぎ耳のお姫様が背負っている芦笙(ルーシェン)は、現代でも大会が開催されるほど有名な笛の一種です。

やかんに似た芦笙を背負ったまろ眉のお姫様は、田舎で笛を吹く純朴な少年のようにも見えます。

こちらも花鼓のお姫様とほぼ同一の造形ですが、カラーリングとヘアスタイルでまったくの別人に。


「敦煌」シリーズは、物憂げなお姫様の目線の先に何があるんだろう?と想像するのが楽しいシリーズでした。


今回は当たりませんでしたが、シークレットとしてそれぞれ120分の1の確率で、クリアパーツが豪華な「九色鹿王」と、メガネをかけた「壁画修復師」が封入されています。


しかし、120分の1……! 当たったらびっくりするくらいラッキーな確率ですね。

とはいえ「四季」シリーズのように本当に当たることもあるので、シークレットのお姫様はあんがい身近に隠れているのかもしれません。

左:九色鹿王 右:壁画修復師

 

まとめ

「四季」と「敦煌」

二つのシリーズをレビューしたことで、MELETE Works社がコンセプトによってパッケージや本体に異なる工夫を凝らしていることを実感しました。


異素材とカラフルな色遣いがポップな四季と、クリアパーツと金塗装が幻想的な重厚感を演出している敦煌。どちらにもそれぞれの魅力があり、本体に添えられているほのかな香りがシリーズを表すひとつのカラーになっていたのではないかと思います。


ちょこんと置ける手軽なフィギュアに興味がある人も、異国情緒溢れるアート作品の魅力を味わいたい人も。「アロマのお姫様」は、初めてのブラインドボックス集めにぴったりなシリーズです。

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:灰田みわ

出身地:日本・東京都

自己紹介:ピンクとドールとアイドル衣装に目がない裁縫が趣味のオタク。30体のドールに囲まれて天蓋ベッドの部屋で優雅に暮ら

しています。



 

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