【テレパインタビュー㊳】世界中の人々が共感する物事をロマンチックに表現したい! 中国トップ名門芸術校・中国美術学院卒の今日先生にインタビューしました!


■Profile

ニックネーム:今日

ツイッター:@eternalgrayores

出身地:中国

大学:中国美術学院

職業:フリーイラストレーター&大学院予備生











■Art Gallery


─── ではまず、今日先生の自己紹介からお願いします!


「こんにちは、今日です。 ペンネームは「境界線(キョウカイセン)」の「境」の頭文字をとったもので、「今日(キョウ)」と同じ発音です。中国美術学院の学部を卒業したばかりで、これからアメリカのイラストレーション専攻大学院へ留学に行きます。自分は人と接するのが苦手なタイプなので、あまり仕事での発注を引き受けず、好きなものを好きなだけ描いています。自由にやっているのですが、たまに自分の目指す方向を見失う時もあります(笑)」



─── 今日先生は、いつから絵を習っていますか? また絵の仕事の面白さは何だと思いますか?


「絵については、小学校1、2年生の頃から筆を持ち始めたと思います。高校3年生の時に絵画を本格的に学びました。 実は私にとって、創作という行為はあまり楽しいものではありません。画筆を手にした瞬間から実際に仕上がりが完了する時まで、その作品に対して責任を持って全力をかけなければなりません。そして作品のアウトプットの過程に獲得した経験を迅速に消化し、次の作品の糧にしなければならないのです。


以上のことはあくまで「自分の手で作品を完成させた」レベルの話。作品とは他人から色々な評価や意見をもらってから成立するものだと思います。だけど自分は他人からマイナスな評価をもらうことに非常に怖がるタイプでして、創作する時にもっとも力を入れている部分は「画面表現にミスしないこと」で、そして失敗に対する恐怖さこそが、後から私を作品完成まで押し上げてきたわけです。


クリエイターとしては、少々歪んだ考え方かもしれませんが、自分の場合この考え方が作品創作の原動力になっています」



─── 今日先生の作品表現、その構図は非常に「映画的」になりますが、先生はその絵風をどうやって身につけたのでしょうか?

「自分はSEGAの『龍が如く』というゲームが大好きで、同人作品を色々を描きました。このゲームの演出は非常に映画的な表現で、同人創作した時は原作の雰囲気を伝わるために、自然に構図が作品の雰囲気を左右することを意識しはじめました(笑)」



─── 今日先生の作品構図と画風についての見解を聞かせてください!


「自分の創作道を振り返って見ると、絵のスキルを身につけるプロセスで、よく遠回りの道を選んでしまうのです(笑)。ですが数ヶ月前にコンセプトデザイナー&イラストレーターのDevin Korwin氏の著書『Creative Fundamentals』を拝読しまして、たぶんそれから自分の頭の中にようやくまともな「イラスト構図」という概念が確立したと思います。


私の場合、作品の主目的が感情を伝えることであれば、絵の表現自体すべてが「感情を伝わる」のためのものであり、「映画的」な画面感もその構成要素の一つだと考えています。


作品において「画面の雰囲気」と「画風」は別物だと思います。もう少し細かく解釈しますとそれは「美術評論家」と「画家」の違いに似ているかもしれません。同じく作品を前にしますが、画面に対して注目点、着眼点が違えば分析方法と結果も異なってくると考えています」



─── 今日先生が尊敬するアーティストについて教えてください。具体的にどのような点ですか?


「絵の勉強を始めて間もない頃、イギリスの画家Lucian Freud氏の作品が私に強烈なインパクトを与えてくれました。試験中にたまたま彼の本に出会い「世の中にこんな素晴らしい表現ができる人がいるなんて」と唖然とさせられました。 彼の描く人物はとても生き生きとしていて、一筆一筆が物の質感をリアルに伝えてくれます。また積み重ねられるという油絵の性質を絶妙に活かし、作品の表現をさらに豊かにしています。豊満な女性の肌のひだや血管、老人のあかぎれやしわ、ペットの滑らかな毛並みなどが、とてもストレートに語りかけてきます。彼の作品を拝見すると被写体は「そこにある」ようのリアル感を伝わってきます。


もう一人、私に大きな影響をくれた方はスペインの印象派画家のJoaquín Sorolla y Bastida氏です。 彼は間違いなく私が今まで見た画家の中で一番色使いが上手な方で、彼の作品を拝見しますと作品を迷うことなく一気に仕上げた時の喜びが伝わってくる感じがします。


アニメ・マンガ絵柄のイラストレーターですと、私はREI先生(@rei_17)とAnna Yin先生(@HORIKWAWATARU)がとても好きです。彼らの作品から影響を受けて「人体美」を本格的に研究しはじめたわけです(笑)。未公開ですが私もエロチックな絵を描くのが大好きで、小学校3年生の時からすでに机の上にエロ絵を描いたことエピソードもあります(笑)」


─── 今日先生の作品構図について心得を聞かせてください。


「大体の場合はごく一般的な手法を使っています。 だけど画面構成にひとつの部分に私は非常に注意を払っています。それは黒澤明監督の映画作品から学んだことで、登場人物同士の関わり方(Interaction)です。


私が理解する画面構図は、3つの要素がポイントになります。1つ目は登場人物がいる空間、2つ目は絵の中の登場人物の上下高低位置関係、ここの上下とは、登場人物たちの優先順位と地位を表現する手法とも解釈できます。3つ目は表現する対象の感情思想など精神な部分、例えばある絵では主人公の陰鬱さを表現するために構図を考えますが、次の絵では同じ人物だけど表現テーマが変われば構図手法も完全に別なものになるかも知れません」



─── 今日先生はもし「ロマンチック」を作品テーマとすれば、どんな発想方法で描かれるのでしょうか?


「もしそれがビジネスの依頼でしたら、私はまず「依頼側から、その作品を通して情報発信したい対象たちにとって、彼らからの価値観においてロマンチックに対する主流の理解とは何か」を考えます。


カッコいい機械、メカとロボットをロマンチックと考える人がいれば、人間の生死シーンに漂う喪失感をロマンチックと考える人もいます。私はまずクライアント様から、彼が求める作品表現中強調したい「ロマンチック」とは何を指しているのか、それを明確にしてから描くべきだと思います。


私はトラブルを避けるために、大なり小なり人を喜ばせることを選びがちな人間なので、言葉の絶対的な定義がよくわからないことが多いです。 自己満足に過ぎないのであれば、キャラクターの動きや表情から伝わる「エネルギー」(Energy)が、絵の中のさまざまな要素を通じて、人間が勝手に共感してくれるようなものが画面からこぼれ落ちればいいと思うんです」



─── 今日先生のTwitterに「learned from David Hockney」と書いてありますが、それは何か理由がありますか? 先生は自然主義について何か見解があるのでしょうか、或いは先生の作品と関係があるのでしょうか?


「実際なところ、そこまで深い理由や関連性はありません。 私がデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)の作品が好き理由は、彼が作品画面処理において表現手法の厳密性と絶対的な合理性であることです。それは、異なるアーティストの作風スタイルを分析する上で非常に役に立てると感じます。


彼はバラエティに富んだ表現手法を駆使して作品を多く世の中に出しているアーティストであり、今でも現役です。彼の作品集を閲覧した時、編集者より「ナチュリズムからの解放(to release from naturism)」というコメントがあったと覚えています。


先ほど話しましたけど、美術評論家とアーティストの作品に対する分析・理解の仕方は違うと感じています。私のデヴィッド・ホックニー(David Hockney)作品に対する見解ですが、彼の作品表現は自然と真実にかなり忠実であると思います。 彼は完璧なアーティスト表現者であり「リアルな世界の風景アーティストにより表現する場合はどうするべきか」の解を最初から分かっています。


それゆえ彼の作品は、芸術的な朦朧美を含む作品より、曖昧な不確定要素の部分が足りないのは欠点かもしれません。だけどそれも彼らしくて、物事に対しても根底に到達するまで究明する厳格で理性的な性格そのまま表しています。


それに対して一部は賛成ですが、自分は「絶対的な理性以外のクリエイティブさも尊重すべきである」と考えています」



─── 今日先生は「オタク」であることはバレバレですね(笑)! 先生が好きなアニメ・マンガ作品、映画、ゲームについてお聞かせください!


「そうですね、私は「オタク」ですが、アウトドアより「自宅にいる時間のほうが長い」ほうの「オタク」です。 アニメについて自分はまだまだ初心者レベルだと思います。自分はアニメにハマったきっかけは『タイガー&バニー』。自分に大きな影響を与えてくれた作品は『機動戦士ガンダム』『進撃の巨人』『ヨルムンガンド』この3つの作品でした。 これらの作品は自分が過去の人生で相当図辛くて迷っている時期に出会った作品で、人と人とのつながりとは何か、個人と集団との絆とは何か、色々考えさせてくれたのです。


自分はアニメという表現手法を、美術館に飾られている名画と何ら変わらないと考えています。スペインの名監督アルベルト・ミエルゴ(Alberto Mielgo)が言うように、「I LOVE ANIMATION OVER ANY ART, BECAUSE IT HAS EVERY ART ON IT.」(私はどんな芸術よりもアニメーションが好きだ。なぜなら、アニメーションにはあらゆる芸術が詰まっているからだ)私にとってアニメは「これはアニメじゃない、本当のことさ」だと考えています。


最近ハマるアニメ作品といえば、『ウマ娘プリティーダービー』をずっと見ています」


─── 今日先生が一番好きなガンダム作品とキャラクターを教えてください。


「真面目に言いますね『機動戦士ガンダムZ』と主人公のカミーユ・ビダンが個人的に一番お気に入りです。それと『機動戦士ガンダム00』のリボンズ・アルマークを激推します。はははは」



─── 今日先生はアニメ作品を見る時、一番注目する要素とは何でしょうか?


「まずは作品の美術とビジュアル表現に一番注目しますね。 2つ目は作品表現から制作陣側が「自分が何を話しているのか」と「それをどう見せるのか」をどれほど理解しているか、ということを読み取ります。私は、最近のTVアニメ全体的な仕上がりにかなり厳しい意見が多いほうです。


気分転換のために実験的なアニメーションや自主制作のアニメーション作品も沢山鑑賞し、作者の思想を理解しようとしています」


─── 今日先生は日本のサムライやヤクザ文化をテーマとする作品を多く描かれましたね。その題材に対して愛着を持たれているのでしょうか? 具体的に教えてください


「『ゴースト・オブ・ツシマ』と『龍が如く』に一時的にハマりました。これらの作品は、私がゲームを遊びながら同時に二次創作を趣味で描いています。「その題材の絵を描くのが好き」というよりも「ゲームを遊ぶとその同人を描く」という「インプットとアウトプット」のプロセスを自分が楽しんでいると言った方が良いかもしれません。


特に最近よく遊んでいるのは『ゴースト・オブ・ツシマ』です。プレイしながら色々考えさせてくれます。欧米のゲーム開発会社が欧米の市場を踏まえて東洋的な物語をどのよう表現するか、制作陣の考え方はゲーム中様々な要素として反映されています。例えば巻物集めや、違う種類の鎧、あと戦闘システムの設計から学べるものが多く感じます。


また同人絵を描く時に参考資料を色々探します。それで日本式紐の結び方を学んだりとか、ゲームに登場する時代服装やビジュアル表現スタイルの影響を受けて、黒澤明監督の映画作品を分析したりもしました。さまざまなことをやって獲得したものを自分の作品に反映させるなどをしたから、そして自分の作品絵柄から自然にその影響がでていると思います」



─── 今日先生は今後、作品創作において挑戦してみたいこと題材はありますか?


「もちろんありますよ! 昔からマクロな視点で広いシーンや、宇宙をテーマとする作品に挑戦してみたいと思っています。今後の作品ビジュアル表現において、広大な宇宙に小さな人間一人が浮いているようなシーン、宇宙空間という巨大きな概念を前にして人間と対比し、その喪失感と無力感を表現したいと思います。


それとイラスト以外ですと、グラフィックデザインの作品も色々作りたいと思っています」



─── 今日先生は作品創作する際にいつもどんな曲を聴いていますか? 好きなアーティストや音楽ジャンルについてお聞かせください。


「創作している絵の雰囲気に合わせて選曲をしていて、基本何でも聴くタイプです。 音楽のジャンルはあまり詳しくないのですが、最近では『Grand Theft Auto V』のRock of SantoやSoul Wax、lab FMをいつも聴いています。好きなアーティストやグループを挙げれば、椎名林檎、The Weeknd、Swedish House Mafiaなどが気に入っています」


─── 今日先生は今後、自分の才能を活かしてどのような商品案件に手がけたいのでしょうか?


「自分の作品から考えますと、最も現実的な意味ではキャラクター造形の原型イラストや、ゲームの中に使うイラストだと思います。 もっと色んな違う分野に挑戦したいと思っていますけど、それを実現するために画力をもっともっと磨かないと、と感じています」



─── インタビューありがとうございました。最後に読者にひとことお願いします!


「拙者の未熟な作品を楽しんでいただき、本当にありがとうございました! これからもぜひ宜しくお願い致します!」

 

今日先生の最新作品情報と進行中の商品化企画は引き続きホビーテレパにて告知していきますのでぜひお楽しみに!

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