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【テレパ実物レビュー㉒】核誠治造の手がけるプチサイズの可愛いプラモシリーズ「機動都市α」より、円卓の騎士を率いる英雄の名を冠した白衣の騎士“アーサー”を紹介!


実物レビュー第㉒弾。

「焦糖重炮(キャラメル)」、「颶風(ハリケーン)」に続いて「亚瑟(アーサー)」を紹介します。※アーサーの一文字目「亚」は「普」上部の点が二つと下部の日を取り除いた漢字。常用外


丸っこいボディでマスコット的な可愛さの「キャラメル」。

細身のボディに巨大なブースターユニットを備え、トップヘビーな独特のバランスが魅力の「ハリケーン」。そして今回紹介するのは西洋における中世の騎士のようなデザインの「アーサー」。

非常に個性的なキャラクター性を持った3つのキットが同じシリーズで展開されているというのはなんとも面白いですね。

過去二回の記事をご覧いただいた方でプラモの目利きにたけた方はお気づきかと思いますが、キャラメル、ハリケーンともに部分塗装が施されています。


今回の「アーサー」ではその部分塗装にフォーカスしてみます。

キャラメルのエントリでは透明度も高く非常に美しいクリアパーツを紹介しました。

アーサーは通常カラーにもクリアパーツが含まれており、さらには部分塗装まで施されています。

クリアパーツってなんだか特別感がありませんか?幼少期、レゴのクリアカラーのブロックをすごく大切に扱っていた記憶があります(僕だけ?)。

ニッパーの刃先からサイズが想像いただけますでしょうか。

クリアパーツに落ち着きのある金のアクセントが入ることで非常に見栄えが良いですね。


キャラメルはランナー3枚、ハリケーンはランナーが4枚でした。

アーサーはキャラメルと同じく3枚のランナーです。

続いてヘルメットです。

「ひさし」に当たる部分に金の部分塗装が施されています。

また、キット全体の印象を左右する頭部は特に力が入っているのか、塗装部分を避けるようにアンダーゲート処理が施されています。

ここが通常のゲート処理だと、パーツをランナーから切り離す際に折角の金の塗装が一部剥がれて成型色が露出することになります。

最も視線が集中する頭部にそんな残念な場所があると興ざめですので、このアンダーゲート処理は非常にうれしいところです。


白単色の機体は、ともすれば締まりのない印象にもなりかねませんが、アーサーは関節部に配された暗色が全体を引き締めており、間延びした印象はありません。


肘関節と下腕の嵌合部のクリアランスが非常にタイトに設計されていることから、塗膜の厚みで肘関節がはめ込みづらい場合があります。

そういった際はデザインナイフやニッパーで凸部を削ってあげましょう。

(凸部を一皮むくように均一に細くするのではなく、根元を太く残し先端に行くほど細くなるよう“楔(クサビ)形”に加工すると工数も少なくなり、失敗の可能性も低減できますよ)


完成したキットを見てみましょう。

他のキットは付属のシールをほとんど貼っていませんでしたが、全身白い機体色のアーサーにはシールを貼ってみました。


白×クリアグリーンのノーマルカラーと、黒×赤のクリアバージョン。

メインカラーと差し色がそれぞれ補色になっていて、聖騎士と暗黒騎士とでも言うような正反対の印象を受けるカラーリングの対比が最高です。



キャラメルには膝関節の可動なし、ハリケーンには膝可動はあるものの、可動範囲はひじょうに限られたものでした。



対するアーサーは膝関節に十分な可動範囲が設けられ、多少窮屈ながらも膝立ちが可能です。

脚部はシリーズ屈指の気合の入る具合で、間違いなく本キットにおけるトロの部分です。



フレームの前後を装甲で覆う設計は非常に計算されています。

分割線も曲線的に処理され、「パーツを張り合わせました」感が出ないよう最大限工夫されています。


キャラメル、ハリケーン、そしてアーサー。

それぞれにクリアカラーのバリエーションが用意されていますが、クリアバージョンの色味だけでいえば僕はこのアーサーが最も気に入りました。



関節部にクリアレッドが配色されているのが非常にニクい。

黒い装甲の隙間から見えるクリアレッドが差し色として非常に効いていて、全体的に非常にまとまりのあるカラーリングであるといえるでしょう。


最後にCGモデルとキットを比較してみましょう。

キットの再現度が非常に高いことが見て取れるでしょうか。


「初心者向けプラモとは何か」という命題はプラモ愛好家でも意見の分かれるところですが、僕は「機動都市」はその回答の一つになり得るのではないかと思っています。

初心者にプラモを組んでもらうことの目的を「二つ目、三つ目のキットを購入してもらうこと」、「プラモを好きになってもらうこと」に置くのであれば、僕は「自分にもプラモが組めた!」という成功体験を得ることは目的達成に不可欠な要素だと思います。

工数が少なく、すぐに完成形を見ることができる機動都市は容易に成功体験を得られるシリーズであり、プラモを組む楽しさを知るにはうってつけのシリーズであると言えるでしょう。

とはいえ、アンダーゲートなど初心者にはちょっと処理が難しい部分もあるため、友人や恋人、親など身近にモデラーがいて、最低限のツールが身近にある方に向いているキットではあると思いますが……


ホビーテレパをご覧になっている方の中には普段プラモデルになじみのない方もいるでしょうか。

もし本エントリをご覧になってプラモデビューを考えた方がいた場合は、ニッパーだけでも買いそろえていただくと良いでしょう。

失敗する確率が激減します。


「ニッパーなんて買ったことないし、何を買って良いかわからない」という方はご相談ください。ご予算に応じてお勧めの商品を紹介しますよ。


小サイズでバリエーション豊かな「機動都市」シリーズ。

あなたのプラモデビューに是非いかがでしょうか。

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:蒼人

出身地:日本・神奈川県

自己紹介:帰宅後に家事の合間を縫ってプラモ製作に勤しむリーマンモデラーにして毎週末劇場に足を運ぶ映画マニア。

TBSラジオのヘビーリスナーかつハガキ職人でもあります。


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