【テレパ実物レビュー⑯】複雑極まる変形で、ロボットトイの極北を体験せよ!神機工業「暗梟」

更新日:7月1日

 中国の最新鋭戦闘機J-20がロボットに変形するオモチャ「黒閃」を作った神機工業は、戦闘ヘリがロボットに変形する「暗梟」も発売しております。これが変形ロボットトイの極北というか、「ビークルモードに元ネタがある変形ロボットのオモチャ」としては、攻めに攻めた内容となっております。ちょっと攻めすぎてて、遊ぶのも正直けっこう大変なんですが。


 暗梟が題材にしているのが、中国軍が運用する攻撃ヘリ、WZ-10。戦闘ヘリというのはなかなかゼロから作るのが難しい兵器でして、このWZ-10も90年代から紆余曲折を経て実用化に至り、ここ10年ちょっとでようやくそれなりの数が配備されたらしい……という機体です。国産かつ現役バリバリの戦闘ヘリということで、オモチャの設計に気合が入るのもわかります。

デカい! 箱が! トランスフォーマーで言うとコマンダークラスくらいのやつが入ってそうな感じ


 そんな暗梟で、まずびっくりしたのがその箱の大きさ。縦41㎝、横28㎝と黒閃の箱よりずっと大きくボリューム満点。暗梟がバリバリ戦っているイラストが印刷されており、黒閃の箱にあった「前面がガバッと開くやつ」はなくなっています。一応同じシリーズのはずなんだけど、箱のフォーマットに特に一貫性がないのはちょっと寂しいかも……。

むっちゃミサイル入っとるやん


 開けてみると、中にはロボット形態の暗梟、そして大量の付属品が入っています。武器に加えて、ヘリのローターやランディングギア、それにスタブウイングの下に吊るすであろう兵装がわんさか。そっか~、黒閃の時はステルス戦闘機だから主翼の下にミサイルなんか吊れなかった(ミサイルなどで形がデコボコすると、レーダー波を反射しちゃうので)けど、戦闘ヘリだもんね。そりゃ武装をガン積みにしてゴテゴテにしたいよな。


というわけで一回変形させました

こっからロボットになるとは思えない……

後ろから見ても完璧


 というわけで、箱に入っている状態からランディングギアやローターを取り付け、さらに一回変形させるとこのヘリ形態に。見ての通り、とてもここからロボットに変形するとは思えないほど完成度が高い。普通ならロボットに変形するためのパーツが集まったりしてそれなりに皺寄せがくる機体底面に関しても、ガッチリとカバーされていて中身の露出はなし。前回の黒閃ではまだロボット状態のパーツがちょっと飛び出したりしていたんですが、暗梟はマジで「WZ-10のスケールモデル」と言っても違和感のない出来です。


キャノピーにはホログラムっぽい塗装が

ピトー管は金属製な上、予備としてもう一本入っています。どう見てもすぐ折れそうな部分なんで嬉しい

機首の機銃および、センサー類を装備したターレットは可動します

前席のキャノピーは横に開くことが可能。コクピットの中にちゃんと計器盤があるのがすごい

テールローターまわりにまでリベットがみっしり。スケールモデルじゃん……



ミサイルやロケットランチャーは4種類8個が付属。左右にそれぞれひとつずつ吊れるので、お好みの兵装でどうぞ

スタンドに固定して飛ばした状態でディスプレイもできます

スタンドの左右は引き出しになっていて、付属品を収納可能。至れり尽くせり!


 ヘリ形態は、本当に細部に至るまでよくできています。機体全体にびっしり打たれたリベットの彫刻や、内部までちょっと再現されたコクピット、スタブウイングへの付け外しができる各種兵装と、戦闘ヘリのオモチャとしてパーフェクトな内容。キャノピーの透明パーツがちょっとホログラムっぽい塗装になってるところとか、本当にわかってるなあ……という感じです。スタンドを使えば飛んでる状態でも飾っておけるし、スタンドに使わない付属品をしまっておけるし、痒いところに手が届くとはまさにこのこと。全体に吹き付けられた黒の塗装もしっとりしたツヤ消しになっており、高級感が漂っております。いや、おれこんなにうまく塗装できないよ……。


 あと、ちょっとびっくりするのがヘリ形態での大きさ。「ロボットの各部が機体のガワを兼ねつつ、空いた隙間を各部から移動させたパネルで覆う」という変形プロセスなので、どうしてもパネルの折りたたみ機構を収納する必要が出ます。そういった機構をフォローするためにそれなりの大きさが必要になるわけで、さらにローターまで含めるとよりボリュームがあります。そりゃ、あれだけ箱が大きくなるわけですね。では、実際の変形はどうかというと……。


そのままでもいけますが、細かいアンテナやローターは破損しないように外した方が無難です。では、トランスフォーム!

まず機首部分をバラバラにして……

肩と頭がつながったブロックを180°回転させて……

上半身の形を作りつつ、ヘリの後半を左右に割り……

腰を捻って脚の角部を変形させて……

色々閉じたらできあがり!


 変形プロセスは、前回の黒閃に輪をかけて複雑怪奇。ややこしい上にトリッキーという、難易度高めなものとなっています。全体的には「機体後半=脚部」「機体前半の下部=腕部」「機体前半上部=上半身と頭部」という感じなんですが、各部のパネルのはめ合わせがけっこうタイトなのでヘリ状態でのガワを分解するのもちょっと大変。しかも「ヘリ形態だと機体中央部にあるローター基部が、ロボット形態だと肩にくる」「頭部~首と両腕の付け根が、前後のキャノピーをつなぐ軸を中心にして180°回転する」みたいなトリッキーな変形も。変則的な変形プロセスはこのオモチャの面白い部分でもあるんですが、プロセス数がとにかく多い上に細かい部分の調整が多いので、変形させようと思うとそれなりに覚悟がいります。「変形ロボットトイで遊ぶのに必要な覚悟」ってなんだよ……という感じではありますが。


取り外してたローターなどを取り付けて、武器を持たせたら完成! カッケ〜!

ローターは左肩にくっついてるので、背中はスッキリしてます

金色の部分はダイキャスト製パーツ。金メッキされているパーツがチラッと覗くのがイカす

ヘリの時のコクピットは、ちょうど胸の位置にくる設計。ビークルモードとロボットモードでコクピットが共通なの、燃えますね

指は全て第一・第二関節まで可動。スッゲ〜


 無事に変形させるとこんな感じ。左肩にたたんだローターをケープみたいにぶら下げているというのが、ヘリから変形するロボットとしてはちょっと珍しいですね。トランスフォーマーとかだと折りたたんで背中に背負いがちだったりするので、これは面白いアレンジ。どうやらこの機体はストーリー上ではヒロインが搭乗するという設定のようですが、ロボット自体は相変わらずイケメンです。そして胸にコクピットが配置されていたり脚が長めの体型だったりと、日本人にもわかりやすいかっこよさが盛り込まれているのも特徴。黒閃の時も書きましたが、本当に同じコンテンツを吸って育ったオタクがデザインしてるんだな〜と思います。


ヘリ状態でも使っていたスタンドは、組み替えるとロボット用になります

手の指がフル可動するのが効いている

銃型の武器は変形して、古代中国の武器である「戈」みたいな形になります


 実物通りのヘリからあれだけややこしい変形をしてロボットになったとは思えないほど、可動範囲は良好。足首を横に寝かせる、腰と手首が回転するなど、現代的な変形ロボットトイなら動いてほしいという場所は大体全部動きます。さらに暗梟では腰を前屈させる可動軸まで搭載。「戈」みたいな武器に変形する対物ライフル風の銃も面白いし、パンパンにサービス精神が詰まっている印象です。


 ただ、とにかく変形が複雑、なおかつやはり説明書がちょっとわかりづらいので、一回変形させたらしばらくいいや……という気持ちになったのは事実です。ヘリ状態でのスタイリングのよさとロボット状態でのシャープなかっこよさを高いレベルで実現しようとしたらこうなった……というのは十分伝わってくるんですが、もう少し手心というか、変形自体の簡便さ・手軽さの方に目を配ってくれるとバランスのいいオモチャになるのでは……という気もします。


すんごいオモチャなのは間違いないです。マジで


 とはいえ、「ヘリ形態とロボット形態でのスタイリングに全振りして、他の要素は全スルー!」というバランスの悪さというか、ある種の歪さがこのオモチャの特徴であり魅力、というのもわかる。そんなアイテムなので、なんだか触っていて「自分は変形ロボットトイに何を求めているのか」という問いが発生してきてしまいました。変形ロボットトイの魅力は変形プロセスの面白さなのか、ロボットの見た目なのか、はたまたビークルモードでのモチーフの再現度なのか……。変形ロボットトイに関する色々なパラメーターがある中、WZ-10というモチーフを完全解体した上で再度ロボットとして組み上げることをユーザーに強いる暗梟は、「ここに力を入れました!」というポイントが極めてわかりやすいアイテムだと思います。


 そんな極めてピーキーなアイテムなので、けっこう人を選ぶオモチャなのかな〜、というのが自分の感想です。とはいえ、現在の変形ロボットトイの極北といっていい、凄まじい完成度を誇るオモチャなのもまた事実。複雑な変形プロセスに付き合うのは正直疲れますが、ロボットのオモチャが好きならば一度触ってみるべきアイテムだと思います。現代最高レベルの変形プロセスとヘリ状態でのスタイリングには、マジで度肝を抜かれますよ!


商品情報:

神機工業 WZ-10「暗梟」ノンスケールアクションフィギュア

ブランド:神機工業

ヘリコプター形態全長:300mm

メカ形態全高:230mm

材質:ABS+POM+亜鉛合金

コーティング技法:フルコーティング+パッド印刷


内容物: WZ-10「暗梟」×1

メインローター×1

フロントランディングギア×2(左右各1個)

ピトー管×1

専用搭載武器システム×4

変形可能なスナイパーグレネード×1

ブラケット(収納ボックスとして使用可能)×1

変形マニュアル×1

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:しげる 出身地:日本・岐阜県 自己紹介:フリーライター。ホビー誌などでいろいろな原稿を書く傍ら、毎月けっこうな量のオモチャを買って遊びながら暮らしています


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