【テレパ実物レビュー⑮】ほとばしるオタク・パッションにシビれる変形ロボットトイ 神機工業「黒閃」


中国軍の戦闘機が、マジでこのロボットになります


 「自分の国の最新鋭戦闘機が、ロボットに変形したら嬉しいじゃん!」という気持ちに素直すぎる……! そんな変形ロボット玩具が、神機工業の「黒閃」です。何を隠そう、このオモチャは中国空軍の最新鋭戦闘機、J-20が人型ロボットに変形するというもの。ビークルモードでもロボットモードでも、気合い入りまくりな出来となっております。


 前述のように、J-20は中国空軍の最新鋭戦闘機。スペックの詳細は不明ながら、ステルス性能を持つ第五世代戦闘機だと言われています。最近の中国トイでは空陸(多分「海」もあるんだろうとは思うんですが自分は知らない)の自国製兵器からロボットに変形するオモチャが色々と発売されておりまして、この黒閃もそのひとつ。「おらが村の最強戦闘機がロボットになったらむっちゃ嬉しい」という気持ちはわかるんですが、それを我先にとバリバリやっちゃうんだからすごいよなあと思います。まあ、カーロボットの頃のダイアクロンも当時の最新兵器がロボットになったら嬉しいという気持ちに素直なオモチャだったし、こういうパッションは洋の東西を問わないんでしょうねえ。

およそ縦30㎝、横20㎝ほどの箱。そこまで巨大でもありません

出た! 箱の前面が開くやつ! 今回、開く部分の固定はマグネットなのでさらに高級感があります

開いた蓋の部分には冊子がついており、なんかマンガが載っております。何が書いてあるのか全然わからないけど……

キャラクター紹介とかどんな敵と戦ってるのかとか、なんかもうすでに設定ができてる。設定だけ先に考えちゃうオタクの仕業っぽい


 で、この黒閃。箱のスタイルは最近のちょっといい中国トイ特有の、前面がパカッと開くやつになっております。これ、どこもみんなやってるけどなんか理由あるんかな……。そしてまず箱を開ける前から面白いのが、この開く部分になにやら設定資料集やらコミックやらが載った、同人誌っぽいものがくっついているところ。なんでも、黒閃は中国のSFマンガ『無上於天2035』に登場するメカということなんだそうで、中を見ると黒閃についてのストーリーや、このメカは何と戦っているのかなどを解説した資料になっています。

オモチャの箱に飛行機や自動車のメーカーのライセンス認証マークがついてると燃えるよね


 さらに箱の裏には中国航空工業集団のマークが。ということは、このオモチャはJ-20の製造元から正規のライセンスをもらっているわけです。中国のオモチャといえば権利意識が激低で海賊版だらけ……というのは一面の事実ではありますが、最近はこういう感じで、題材が兵器であってもちゃんと許諾を取りに行くメーカーも多いです。なんか、「ちゃんと公式に許諾を得ている」というのが向こうのオタクにとってもステータス兼おもしろ行為になってるのかな……という気もします。おれだったら「F-35のオモチャ作ってロッキード・マーチンに許諾取りに行く」みたいなプロセスだけで燃えちゃうもんね。

箱から出した時は飛行機形態。ダイキャストが使われてるのでけっこう重い

横から見て驚愕! 驚きの薄さ!!


 ということで開封。上から見た時にJ-20の形になってるのはわかってたんですが、びっくりしたのは側面から見た時の薄さ。機体の薄さというのは、飛行機型変形ロボット玩具における鬼門です。戦闘機は空気抵抗を減らすためにできるだけ薄く作るものなんですが、その薄さの中に変形するための機構を収めるのが本当に難しい! 実機をモチーフとした変形ロボット玩具の設計者は機体の薄さとの戦いを常に強いられ、幾多の屍の山を築いてきました。が、この黒閃は驚きの薄さ! この薄さからすでに開発陣の「な? うちのオモチャってすげ~だろ?」という声が聞こえてくるようです。

キャノピーが開く! 贅沢を言うとパイロットも乗せたりしたかった!

J-20名物のベクターノズルじゃない排気口も、メタリックな塗装になってます

機首下面のセンサー?も、ホログラムっぽい塗装がされていてイカす

ランディングギアはダイキャスト製。頑丈じゃないと困る部分なんで、めっちゃ助かります

前方に倒して……

脚庫の扉を閉めて収納! 実機みたいで嬉しい!

後ろのランディングギアも、重量がかかる部分はダイキャスト製です

タイヤを捻りつつ、ハッチを開いて……

ランディングギアを内側に倒して……

ハッチを閉じて収納! すげ〜


 機体が薄いだけではなく、キャノピーの開閉やランディングギアの展開・収納など、スケールモデル的なアプローチをとった飛行機のオモチャとして搭載してほしいギミックは大体全乗せ。機体底面は多少デコボコしているのでウェポンベイなんかは省略されていますが、それにしても全体の収まりが異常にいい。あと、機体全面の迷彩などは全てマットな塗装になっており、部分的に入れられているマーキングと相まってデスクトップモデルのような雰囲気です。

では、ここから変形させてみます。トランスフォーム!

前後に分かれた機体上面をガバッと剥がして……

手足を引き出して変形させつつ、前後の機体背面を折りたたみ……

胴体と足を180°捻りつつ頭を引き出し……

各部を閉じたり調整したりすれば……

できあがり!! 


 これマジで変形すんのかよという感じですが、きちんとロボットに完全変形します。機体背面を大きく剥がすように分離させ、腕になる部分を引き出して変形させつつ、機首周辺を折りたたんで胴体を作成。さらに脚部を変形させる……という感じのプロセスで、余剰パーツなしでロボットになります。

無から胴体が生まれた……


 これだけ機体が薄いということはどこかでトリッキーなことをやらなくてはならないはず……と思っていたんですが、黒閃の場合は胴体周りがそれでした。というのも、機体の裏面に貼り付いている部品の中に「胴体」にあたるパーツが含まれていないんです。これどうすんだろ……と思っていたら、機首周りとその後ろのガワがバキバキと分割されて折り畳まれ、あれよあれよという間に腰から上の胴体になっていきました。これによって「コクピットが胴体中央に収まっている」という配置になっており、人が乗っている変形ロボット感も出ています。ここはすごくよくできているので、ぜひ体験して欲しいポイント。


 腕や足の関節部分がクリック入りのダイキャスト製のパーツでできているのもいいところ。力のかかる部分なんで、やっぱり金属製だと安心感があります。あと、金属部品がたくさん使われていると立たせた時に安定感もあるし、手に持つとずっしりした重みがあって「いいオモチャで遊んでんな~おれは!」という気持ちになれるんですよね。これはもう、超合金とかと同じ理屈であります。ただ、ダイキャスト製関節のクリックがかなり硬めで、なおかつクリック間にブレがあるので股関節とかがぐらつくというのはちょっと残念。もうちょいかっちりした関節の作りになっていると嬉しかったかなという感じです。

どう見ても主人公機。イケメンだな〜

主翼が分割されて背中の羽になってるのがカッチョいい


 ロボット形態になったところを見てみると、小顔で膝から下が長く、背中に羽を背負っているという、日本人にも理解しやすいヒロイックなスタイルにまとまっていることがわかります。中国ではむちゃくちゃガンプラとかの人気がある……というのは知識として知ってはいたんですが、現地のオタクから出てきたオリジナルデザインがここまで「食べたことのある味」であることを目の当たりにすると、日中のオタクはマジで似たようなメカを吸って大きくなったんだなあとしみじみしますね。なんというか、トランスフォーマー的な味付けじゃなくて、いわゆる「リアルロボットアニメ」のテイストなんですよね。

親指以外の指は全部繋がった状態で開閉します

武器は手のひらの出っ張りでしっかり固定できるので、ポロリもありません

腰まわりが細いんで、銃を抱え込むようなポーズもとれます

膝も肘もかなり深く曲がるのがありがたい

やっぱ飛んでる感じのポーズが合いますね……!

飛行機形態とロボット形態でのボリューム変化に合わせて、スタンドは鏃型から星形に変形させられます

 ロボット形態でもとてもよく動きます。クリックが入っていない関節の渋みもちょうどよく、適度な粘りがあってピタッと決まる。腰や手首の回転、足首を横に倒す動きなど、近年の変形ロボット玩具ではできて当然になりつつあるポイントはきちんと動くし、ロボットのオモチャとして素直に楽しいです。さらに黒閃には星形に変形するスタンドというちょっと珍しいものが付属しているので、見た目の通りの飛行ポーズでも安定して飾っておけます。このスタンドは、もちろん戦闘機状態にも対応しています。

説明書がもうちょいわかりやすければパーフェクトなんだけどな〜


 という感じの黒閃なんですが、変形は正直かなり複雑です。自分はけっこう変形ロボット玩具に慣れている方だと思うんですが、ところどころ「どうすんだこれ?」となるところが発生しました。また、写真を使った説明書がちょっとわかりづらく、できればイラストを使ってどこをどうするのかよくわかるようにしてもらえるとありがたかった……。このへんは次回作に期待したいポイントです。


 とはいえ、「変形前後でしっかり見栄えのする、完成度の高い変形ロボット玩具にしたい!」という気合とパッションを感じられる内容なのは間違いありません。変形の複雑さも、その情熱ゆえという感じもします。あと、とにかくギリギリなパーツ同士のクリアランスなんかを見るにつけ、デジタル設計ってすっげえなあという気持ちと、このレベルの設計をインディーのメーカーができるんだからすっげえなあという気持ちが湧いてきます。

ハイレベルな変形ロボット玩具に飢えている人はぜひ!

 というわけで、設計者の自国の最新戦闘機に対する思い入れと、変形ロボットに対する情熱をしっかり堪能した次第。少々お値段のするアイテムではありますが、それと比例した完成度なのは保証しますので、変形ロボット玩具に関心がある人にはぜひオススメしたいところです。個人的にはこの勢いで各国の最新戦闘機をロボットにしてくれると嬉しいんですが、自国の戦闘機だからこのテンションと完成度が出たというのもわかるんで、まあちょっと難しいかなあ……。

 

商品情報:

神機工業 J-20「黒閃(こくせん)」ノンスケールアクションフィギュア

ブランド:神機工業

戦闘機形態の全長:250mm

ロボット形態の全高:200mm

重量:1kg

素材:ABS +POM+亜鉛合金

コーティング技法:フルコーティング+パッド印刷


内容物:

J-20「黒閃き」×1

ブラケット×1

スナイパーライフル×1

変形説明マニュアル×1

 

■ライタープロフィール

ニックネーム:しげる 出身地:日本・岐阜県 自己紹介:フリーライター。ホビー誌などでいろいろな原稿を書く傍ら、毎月けっこうな量のオモチャを買って遊びながら暮らしています


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