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【テレパインタビュー⑯Part.1】業界のプロたちが集結したユニークな表現集団! 造形ブランドのMATRIX GOOSEに直取材インタビュー


■メーカープロフィール

・会社名:深圳矩陣鵝文化有限会社

・ブランド名:MATRIX GOOSE

・代表:辛晨

・SNS(WEIBO):@矩陣鵝

・所在地:中国深セン市

・設立:2019年12月31日


頑固者デザイナー集団だから「GOOSE」とうブランド名をつけました


──ブランド名の「MATRIX GOOSE」は非常にユニークなお名前ですね。何か特別な意味があるのでしょうか?


「会社設立したばかりの時の話です。所属のメインデザイナー・LAWさんが、会社の未来像をイメージしてメモ用紙に落書きをしまして、それがスーツ姿にサングラスをかけたガチョウのイラストでした。

ガチョウという動物は「ひねくれ者」の性格でも有名ですね! ちょうどうちのデザイナー陣もみんな頑固者ですから(笑)、自分たちがイメージするブランド像にぴったりだなと思いました。社内で検討したところ、すぐに「MATRIX GOOSE(漢字:矩陣鵝)」という名前に決定しました」



──会社に所属するデザイナーたちをご紹介ください


「我が社のお宝級デザイナーと言えば、「近地漫遊 スペース運び屋のReちゃん」を担当したデザイナー・LAWさんですね。デザインにおける万能選手とも言えるほど、ゲームの原画からおもちゃ、グッズ、彫像の造形設計までも堪能で、商品実体化経験も豊富です。よく「よろず屋」と自嘲しているのですが、腕がすごいのは確かなことです。

近地漫遊 スペース運び屋のReちゃんシリーズ


そして、ソフビの愛好家から評価されるのは「点心護衛 DIMSUM-GUARD」シリーズを担当した人気デザイナーのTangさんです。Tangさんは可愛らしくデザインスタイルの表現に長けていて、作品の造形要素から彼女らしさを存分に表せていると思います」

点心護衛 DIMSUM-GUARDシリーズ アリスと時計のウサギ



──起業のきっかけは?


「私たちは皆、長年付き合ってきた友達です。起業する前は、それぞれゲーム、美術、フィギュア、グッズ業界の関連会社に勤めていました。ちょっと2019~2020年前半の頃、みんなが気持ちを一新するために、前の仕事を辞めました。


その時は暇だったから、落書きのイラストを描いてお互いに見せたりしていました。そこで色々アイデアと考えが生まれはじめ、みんながそれぞれ業界経験をもっているし、好きなことを一緒に事業として真剣にやろうではないかと思い、起業に至りました」



──「デザイナーグッズ」業界を選んだ理由を教えてください


「創業した当時は、「おもちゃ」という幅広いジャンルの中では、私たちには選択肢がとても多かったのです。BJDドール、リアルアクションフィギュア、デザイナーグッズ(アートソフビ)など様々なカテゴリーを検討ししました。みんな作品を通じて自分の趣味と世界観、そしてストーリーを伝えたいという要望が強くて、スタイル・表現しやすさ・コストなどの面から総合的に考えた結果、「デザイナーグッズ」からスタートすることを決めました」



作品はデザイナー個人趣味の具現化表現


──MARRIX GOOSEの作品は、造形からとてもストーリー性が溢れていると感じますが、企画の段階に何かストーリー的な設定などはありますか?


「はい、弊社の作品はデザイナーさん個人の好み、趣味からアイデアを出し、再構築したものだと言えます。例えば、『近地漫遊』シリーズはデザイナーのLAWさんが自分の「機械」と「宇宙」への創作情熱をまとめて具現化しました。


もちろん商業的な成功は重視していますが、弊社が大事にしているのは作品を通じて自分たちの趣味と世界観を沢山の方に見てもらうことです。作品で遊び、想いを理解していただき、それを元に再構築していただいた皆様方の「好み」を好きになってくれれば幸いです。私たちが提供する世界観から生み出された「好み」が皆様の様々なシーンで活きてくればこれ以上嬉しいことはありません。


そして商品企画の段階では、まずは背景ストーリーを設定します。このキャラクターはどんな環境で生活しているのか、どんな職業なのか、趣味は何なのか、どうしてこの形で表現するか、色々考えます。


大事なのは、流行りの要素と特徴をキャラクターに持たせて無理やりにストーリーを作るのではなく、キャラクターイメージに説得力が出せるように、まず自分の中で物語を構築し、合理性がある解釈を作らなければなりません」



──最初の商品の誕生経緯をお聞かせください


「最初の商品は『神秘入侵』シリーズの「ダゴンちゃん」です。「星空」と「マカロン」2種類の塗装カラーでリリースしました。どれも人気商品ですぐ売り切れました。商品は好評でマカロンカラーはその後追加生産で復刻版も作りました。

『神秘入侵』シリーズ


このシリーズを担当するデザイナーのMisharycさんは、クトゥルフ神話とアメリカアニメの大ファンで、ソフビと怪獣おもちゃのマニアです(笑)。


ダゴンちゃんは、当初のデザイン案では怪獣に近いイメージで、全身に触手と眼球に覆われていました。それを何度も改良を重ね、結果、今の造形に至りました。

    

『神秘入侵』のストーリー設定上、ダゴンちゃんはクトゥルフ神話作品に登場する「深きものども」という架空の生物の中で「長老・指導者」という身分です。「瓜来耶(グァライエ)」という港町に住んでいて、町には様々な神話に登場する生き物がいて、人間と一緒に暮らしています。そうですね、『クトゥルフ神話』+『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』のような騒がしくてカオスな日常を想像してみてください(笑)。


ストーリーに登場するキャラクターたちはシリーズとして実体化していくつもりです」                            



──発売中の人気商品の背景ストーリーについて、ご紹介してください


「今回のきっかけで日本の皆様に紹介したい商品は、弊社オリジナル『近地漫遊』シリーズの「スペース運び屋のReちゃん」と、『デザードガーディアン』シリーズの「時計のウサギ」です。


『近地漫遊』のストーリー設定は、人類が宇宙に移住した近未来、様々な惑星と低軌道との間を行き来する配達員「スペース運び屋」たちの物語です。

主人公のReちゃんはスペース運び屋の会社「序蜂宅配便・シーケンスビーエクスプレス」に勤務する、ごく普通の少女です。分厚い宇宙服を着て、ジェット・パックを背負い、毎日宇宙配達の仕事に追われています。繰り返しの毎日にストレスを溜まってきたせいか、ちょっと不機嫌な顔をしていますけど、夢は「貯まった有給を使って太陽系外の惑星へ旅立ち、ロングバケーションをたっぷり楽しむこと」です。Reちゃんは「過去に毎日仕事に追われた自分たち」の投影です。

Reちゃんの全長は12cmで、主な材質はPVC。ヘルメットマスクは表情再現のため透明ABSで作られています。腕・頭部・アンテナ・ジェット推進器・足は全部可動式構造で、足に磁石がついていて各種金属の表面にくっつけられます。色々な遊び方で楽しめる商品です。

黄の標準色バージョン以外、「食品会社のアイシングケーキキャンペーン用作業服」という設定でのピンク&青の限定色バージョンもあります。


『点心護衛 DIMSUM-GUARD』シリーズは、体が髪に支えられ、個性的なデカイ帽子をかぶる少女たちです。今回ご紹介する時計のウサギは『不思議の国のアリス』中の白ウサギをオマージュしています。ハート女王の手下なので、トランプをイメージする服を着て、帽子に蝶ネクタイの時計が飾ってあります。

時計のウサギの全長は13.5cmです。作りについてはPU樹脂注入で成形し、手作業塗装で仕上げします。裏側に可動式時計仕掛けを装着しています。


PU樹脂という材質はフィギュアの材質と違い、比較的に重量感があって割れしやすい材質なので、慎重に取り扱いしていただけますと嬉しいです」


※『点心護衛 DIMSUM-GUARD』シリーズの誕生秘話は、インタビュー⑯Part.2でご紹介します!



──商品関連コンテンツの開発予定はありますか?


「もちろんです。各キャラクターの背景設定とストーリーはずっと書いていますよ。今、こうした背景を描く漫画も続々完成しています。またIP戦略の一環として、中国のNFT会社と協力し、2022年前半に弊社キャラクター造形のNFT商品をリリース予定です」



──BJDブランドのRINGDOLLとのコラボ企画がありましたよね! ぜひお聞かせください


「RINGDOLLとのコラボ企画はデザイナーTangさんのおがけです。実はTangさんが、弊社に来る前にRINGDOLLでプロダクトデザインを担当したことがあり、彼女を通してRINGDOLLのCEO黄山氏に弊社の商品創作理念とビジョンについて話し合ったところ、うちの商品を気に入っていただいてBJD商品のコラボ企画をやらせていただきました。

MATRIX GOOSE×RINGDOLLコラボ商品:点心護衛 DIMSUM-GUARD ALICE01


他にブラインドボックス会社の「RED CAPSULE」、総合エンタメ会社の「咪咕文化(MIGU)」とのコラボ企画があります。弊社より全然規模が大きい会社さんですが、弊社の作品を認めてくださっってコラボ提案までしてくれました。とても感謝をしております」



──これから事業展開の展望やビジョンをお聞かせください


「コロナの影響でオフライン展示会の機会が減っているので、宣伝目的でコンテンツ制作と運営に重点を置きたいと思っています。そもそも弊社は作品を通して私たちの「価値観」をより多くの人に伝えたいことですから、手に持てる商品だけではなく、マンガ・イラスト・映像など、様々な表現手法でコンテンツを充実し、キャラクターや世界観の魅力を知ってもらいたいと考えております。


もちろん、本業はおもちゃを作るスタジオですから(笑)、商品開発は計画通りに進めていますよ」



──好きな日本アニメとマンガ作品のタイトルと、感想を教えてください


「私たち同世代のデザイナーはみんな、日本ACG(アニメ・漫画・ゲーム)から受けた影響が大きかったです。小さい頃から日本のアニメと漫画をよく見てたし、ゲームもやって育ってきました。好きな作品は、それは数え切れないほどありますよ。


印象深い作品を言いますと『攻殻機動隊』『AKIRA』『新世紀エヴァンゲリオン』『宇宙の騎士テッカマンブレード』あと特撮ジャンルでも好きな作品がいっぱいあります。近年の作品では『進撃の巨人』と『ジョジョの奇妙な冒険』が好きです。好きなゲームに関しては『ファイナルファンタジー』シリーズ、『ポケモン』シリーズ、『ファイアーエムブレム』シリーズなど。これらの名作は我々の“ゲーム人生“に多大な影響を与えてきた作品とも言えるでしょう。


苦手な作品は今のところ思いつきませんが、強いて言えば、ここ数年、ありふれた異世界転生モノにはちょっと飽きているかもしれませんね(笑)」


──好きな日本人のクリエーターさんとその理由をお聞かせください


「日本の芸術家・原型師は非常に職人気質で、彼らの作品芸術性における深く追求する精神に感服しております。一番尊敬する方を言えば、造形作家の大山竜(@oyamaryu3333333)先生とYOSHI(@Yoshi6054)先生です。


それから各種ゲーム・アニメ・映画などのプロデューサーたちの作品の芸術表現やその完璧を求める精神に感心しております。」



──日本のフィギュア、ソフビや他造形商品についてはどう思いますか? 印象に残った商品を教えて下さい。


「フィギュア、ソフビなど造形商品全般において日本は業界の先駆者であり、中国はまだ発展途上と言えるでしょう。近年POPMARTを始め、中国でも造形商品がブームになってきていますので、アートソフビやリアルアクションフィギュアにおいて中国大陸と香港のデザイナーたちもだいぶレベルアップしてきましたが、造形商品の総合面においては日本が遥かに業界をリードしていると思っています。


特に美少女フィギュア・ソフビ人形・プラモデルにおいて、日本のプロ原型師たちは長期に渡って積み重ねてきた造形経験と美的センスを持っていると思います。私たちはまだまだ学ぶべきことが山ほどあります。


最も印象深い作品と言えば、石長桜子先生の『冬の森の女王』と大山竜先生の『リオレウス』です。2020年に上海ワンフェスの現場で『リオレウス』の実物を拝見したことがあり、胸が熱くなり感動しましたね」

左:石長桜子『冬の森の女王』

右:大山竜『モンスターハンター リオレウス』©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.


──日本の読者たちにひとことお願いします


「日本の皆様、初めまして! この度は弊社「MARRIX GOOSE矩陣鵝」商品の日本初登場です。ぜひ宜しくお願い致します! 気に入って頂ければ幸いです」

 

MARRIX GOOSE矩陣鵝の商品はホビーテレパオンラインショップにて販売中です!

ご興味がある方はぜひ一度チュックしてください!

※シリーズ商品は今後も追加登録していきます。


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