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【テレパインタビュー⑭】東洋と西洋を融合したアート表現に挑戦!若手イラストレーターKrusier先生に直インタビュー!


■Profile

ニックネーム:Krusier

出身地:中国

職業:フリーイラストレーター

出身学校:

アメリカサヴァンナ芸術工科大学(修士)

専攻:イラストレーション










■Art Gallery

 

見るものを驚かせる斬新なスタイル! 東洋と西洋の世界観が融合された新しい物語性のあるアートを表現していきたい


──さっそくですが、自己紹介をお願いします


「中国出身のKrusierと申します。アメリカサヴァンナ芸術工科大学のイラスト修士専攻を卒業し、フリーランスのイラストレーターとして活動開始したばかりです。今はアメリカのニューヨークに在住しております。」


──アメリカへ留学に行くきっかけは? 決意した理由を教えてください


「中国の大学ではゲームグラフィックを専攻しておりました。数多くの技術とスキルを学びまして、さらにスキルを磨くため、異なる画風の様々な作画技法を用いたビジュアル表現をチャレンジしてきました。数々の作品制作を経て、やはりデジタルイラスト制作が自分に一番向いていると感じました。そこで自分の表現力、スキルをさらに伸ばすため、アメリカへの留学を決意しました」


──アメリカに在学中に起こった印象的な出来事などありましたらお聞かせください


「留学していた頃、教授が生徒に、目をつぶってスケッチをさせていたり、キャンバスを裏返して反対の方向から絵を書かせていたりしました。自分の普段の絵描きのスタイルとは全く違うものでしたが、案外とリラックスすることができて、自由な気持ちで絵を描くことができました!


また、ハロウィンにみんなでハロウィンコスチュームを着て教室に行き、順番にモデルになってスケッチを描いたりしました。私はみんなのコスチュームのスタイルやディテールを観察するのが好きで、その人の普段は見えなかった側面が見えたら、時には意外な発見があったからです」


──先生の作品は、東洋と西洋の芸術表現が融合されているのが特徴的です。この現在のスタイルはどのように習得されましたか?


「自分のスタイルの形成には、日本のマンガ文化と黄金期のアメリカンイラストレーター・アメリカ映画からの影響が最も大きかったと思っています。私は小学校から一人で映画館に行ってSF名作映画を見るのが好きでした。中学の頃、日本のアニメとマンガにハマって同人作品をひたすら描いていました。そして、大学時代には黄金期のアメリカン・イラストレーターたちの高い画力と華やかな色塗りに感動し、それらの体験を自分の創作スタイルに取り込もうとしました。

自分が創作する際には、造形上は日本のアニメ・マンガキャラクターのような繊細さを感じるタッチで人体を表現し、また色彩上では黄金時のアメリカン・イラストレーターたちの作品のようなクラシック且つ鮮やかな色塗りと組み合わせします。構図においてはアールヌーボーの芸術家たちの作品からデザイン要素を参考にします。仕上げしたイラストはビジュアル表現を通じて、奥深さを感じらるインパクトのある物語性を表現できればと思っています」


──作品制作において「芸術表現の目標」をお聞かせください


「自分の理想は、叙事詩のようなイラストビジュアル表現です。比喩的な視覚要素で物語を語り、独特且つユニークな構図で深みがある内容を伝わえて、見る人の心を震わせる、記憶に残る一枚ができればと思っています」


──尊敬する、あるいは目標とするイラストレーターをお聞かせください


「アメリカの黄金期の芸術家たちが好きです。彼らの極めて高い技法はいつになっても時代遅れになりませんし、構図・造形・キャラクターデザイン上は学べるところはたくさんあります。その中で、N.C.Wyeth氏は私の色彩とキャラクターデザインを制作する上での目標です。また、Kay Nielson氏を代表としたアールヌーボー時期のイラストレーターたちの作品では構図を通じて作られたストーリー感に夢中になっていました。J.C. Leyndecker氏のキャラクター気質にまでたどり着けたらと思っております」

左:N.C.Wyeth『The Giant』

中:Kay Nielson『ラッシーと教母

右:J.C. Leyndecker『Study for Butterfly Couple』


──創作活動をなさる際、辛い経験や悩みなどはありましたか?


「できるだけ斬新で価値のある、あまり見たことのない表現方法と形式を見につけたいと考え、苦労をしてきました。目を奪われるような作品を描けるイラストレーターが他にもどんどん頭角を表していく中、人を驚かせる作品制作がますます難しくなってくるからです。あと、私的には基礎力がまだまだ足りないので、書きたい絵が思う通りに書けないところですかね(泣)

創作者として、視点が一般の方と異なり、いつも他の作者さんから勉強したい気持ちでいっぱいです。他の方の作品を観る時に、思わず作品の裏側に作者はどいうスキルと手法でこのような効果で仕上げているのか、ついつい考え込んでしまいます。それ故に作品から受ける感動とか幸せは一般読者より少ないようにも時々思います。いい作品を観ると、自分ではどう頑張っても出来ないとさえ思えて、悲しくなってしまって、自分はこの業界に向いているかどうか、とすら疑い始めます」


──創作のインスピレーションを得る方法を教えてください


「私は映画やゲーム、アニメ、漫画、小説が大好きで、その多くの物語に心を打たれ、同人創作を始めました。その視覚的美感に魅了されて私はその裏側にあるものを探りたくなり、それが私にとって新しいインスピレーションの源となります。


旅行が好きで、異なる風景・風習・文化を自分で体験でき、視野を広げてくれるいい方法だと思っております。それから、博物館も図書館のように、思い浮かんだことのない視覚と知識をもたらしてくれます。それから、pinterestとSNSで共有される芸術関連情報もインスピレーションと情報元になります。特にコロナ期間中に出かけにくい時に、このようにインスレーションを得る場合が多いように感じますね」


──先生が手掛けた商業作品やプロジェクトは?


「ゲーム大手NetEase様の『百鬼異聞録~妖怪カードバトル』と『ハリーポッター:魔法の覚醒』で一部イラストを担当しました。中国人民文学出版社2022再出版の『夜色瑪奇蓮』で表紙イラスト・本文イラストを担当しました。また、アメリカ『エンターテインメント・ウィークリー』(Entertainment Weekly)で本文イラストを手掛けました。他には、Activision Blizzard様で『Tony Hawk』プロジェクトのコンセプトデザインにも参画させていただきました」

百鬼異聞録~妖怪カードバトル』より ©NetEaseInc. All Rights Reserved

『夜色瑪奇蓮』より

『エンターテインメント・ウィークリー』(Entertainment Weekly)より


──すでに数多くのグッズ製作にも携わられたようですが、今までのグッズ開発の経験や作品の商業化についての考えをお聞かせください


「グッズ製作が好きで、実体化した作品を入手できてとても嬉しかったです! 中学の頃は、紙一枚の印刷からグッズ製作の楽しさを覚えました。その後、異なる質感・形式の印刷品・グッズを模索するチャンスができました。例えば、紙より厚みがあって手触りの良いアクリル、用途多様なマスキングテープ、優雅で質感のいい金属製バッジ、細かいステッチでありながら形状の精度が鈍い刺繍図案、細長いリボンをキャンバスとしたグッズ、雰囲気を中心としたCDジャケット、カルフルな用紙サンプルなどがありました。創作中、異なる工芸の効果に応じて表現方式を設計したり、作品の寓意にぴったりの質感と工芸を模索したりして、最終的に自分の手で触れて自分の目で確かめて、最初から最後までワクワクするような体験でした。

これからもどんどん新しい工芸のグッズ製作をチャレンジしていきたいです。チャンスがあれば、自分の作品の3D化グッズを見たいですね!」


進撃の巨人、ジョジョの奇妙な冒険、SEKIRO、Official髭男dism……日本の漫画、ゲーム、音楽には多大な影響を受けました


──日本のACG(アニメ・マンガ・ゲーム)や文学作品、音楽作品、映画、または好きな作者をお聞かせください


「From Softwareの『SEKIRO』、『ダークソウルIII』はここ数年体験した最も印象深かったゲームです。心血を注がれたストーリーとディテールや、東洋風濃厚な叙事のスタイル、心を鍛錬するゲームの難易度設計で技術の頂点を極めた作品だと思っております。


中学の頃に『ジョジョの奇妙な冒険』にハマっていました。そこから、乙一先生の作品を拝読してその神秘に潜む温もりに魅了されました。それから、『ベルセルク』も好きで、私の好きな多くの作品に影響を与えました(例えば、From Software社のゲーム)。


今年ようやく長年のヒット作『進撃の巨人』を拝読できました、素晴らしい作品です! 私にとってこんなに印象深いキャラ設定はなかなかありません。それから、『アカギ〜闇に降り立った天才〜』も素敵です!福本先生が描いた赤木茂はもはや伝説です。作品内容を理解したいため、麻雀を習ってみましたけど、いまだに麻雀達人になっていませんが(笑)。あと、『ゴールデンカムイ』と『ドロヘドロ』にも夜眠れなくなるほど感動しました。


そして、先ほど述べましたような商業作品だけでなく、日本の同人作者たちからも作品の体験や、自身の創作活動に大きな影響を与えてくれましたので、全ての創作者のご活躍とご共有に感謝の気持ちを申し上げたいと思います!


好きな音楽と言えば、ここ数年は「東京事変」と「Official髭男dism」が好きです。「東京事変」は優美豪華な編曲、重なり合っている楽器の演奏だけでも、聴者は無限の思いを馳せていくでしょう。「Official髭男dism」は、生命力が溢れ出すようなスタイルの持ち主で、お二人のボーカルの声も私にドンピシャですね。あとは、俳優のMads Mikkelsenさんが好きだったので、2019年にゲームメーカーの小島秀夫の『DEATH STRANDING』を遊んでみました。そこから、小島先生を徐々に理解できるようになりました。彼の才能や積極的な態度や仕事に臨む心構えも私にとって大きな励ましとなりました。もし私は大学の専攻を継続してゲームプロデューサーになれたら、小島さんがキャリア上の理想像になるでしょう」


──芸術と商業の融合について、そして過去の成功例、または試したいコラボ方法についてお聞かせください


「芸術は商業との融合を通じてより多くの人に知られ、共鳴を得ることができるので、それが有効な手段だと考えております。少なくとも私自身が商業化の芸術によってこの分野を知って、愛し、そしてこの業界に身を投じました。


私も文化伝播の一環として、芸術の商業化に携われたら幸いです。今やってみたいことは先ほど言いました作品の3D化の他に、もっと多くの文学作品の表紙イラストを描きたいです。それから、ストーリーが読者にもたらす感動も私の創作の原動力となりますから、好きなIPストーリー関連の作画に参加したいですね!」


──それでは、日本の読者へ一言をお願いします。


「日本のアニメと漫画文化は私に大きな影響を与えてくれました。日本の食べ物の味も好きですし、日本の風景と人々もとても親しく感じます。チャンスがあれば日本へぜひ遊びに行きたいですし、日本語もいつか習得できるようになりたいです! 日本の皆様にもっと私の作品を見てもらい、好きになってくれればと思っています! ぜひ宜しくお願い致します!」

 

Krusier先生の最新作品情報はホビーテレパにて告知していきます! 続報をお楽しみに!

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